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【高校生が取材】究極の環境配慮型自販機がすごい! 八洋の「飲んで始める」SDGsとは

更新日 2023.03.09
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標12:つくる責任 つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
八洋

冬には温かく、夏には冷たい飲み物を手軽に買うことが出来る自動販売機。全国各地に設置され、日常生活に欠かせない存在です。自動販売機の設置や運営を手がける「八洋」(東京都新宿区)は、自動販売機を通じたSDGs達成を目指しています。YOKOHAMA未来デザイン部員の横浜市立南高等学校2年の赤木秀さん、柏原育恵さん、中田淳介さんが取材しました。

興味を持ったきかっけ

「八洋」という名前は、普段目にしているものの、何をしているのか詳しく知らないことが、興味を持った理由の一つだった。学校に来るトラックの車体社名がプリントされているのを見かけたことがあり、なんとなく自動販売機関連の仕事だと知っていた。しかし、それ以外は何も知らないことに気付き、詳しく調べてみることにした。すると、SDGsに力を入れていることがわかった。なぜ自動販売機の会社がSDGsに力を入れているのか興味がわいた。(柏原育恵)

暮らしを支える生活インフラである自動販売機を扱っているため、取材したいと思った。自動販売機はエネルギーロスが多いと思っていたが、八洋は横浜市のSDGs認証制度「Y-SDGs」に認められているため、取材の機会に色々な質問をぶつけてみたかった。(中田淳介)

身近にあり、街中でよく見かける企業でありながら、何をしているのか、どのようなことを考えて事業を推進しているのかわからなかったため、今回を機にとことん知ってみようと思ったから。(赤木秀)

日本自動販売システム機械工業会によると、自動販売機の国内普及台数は約271万台にのぼります(2021年末時点)。八洋は首都圏を中心に約7万2千台の自動販売機を持ち、1日100万本以上の飲料を販売しています。「生活インフラ企業」を掲げ、自動販売機事業を通じてSDGsに関する取り組みをしています。

「生活インフラ企業」を掲げる八洋は、持ち前の技術を生かし、地球温暖化対策がとられた自動販売機を展開している。例えば、八洋の自動販売機には、販売直前の下の方にあるドリンクだけを冷やしたり、冷却排熱を加熱運転へ再利用したりできる機能がある。また夏場、午前中に冷えだめをして、電力消費のピーク時に使用電力を落とすこともできる。このような工夫は功を奏し、2001年に年2800キロワットだった消費電力を2022年には80%削減。二酸化炭素排出量も年約1300キロから年約200キロまで削減した。(文責:中田)

自販機の内部
八洋の自動販売機の内部。気候変動対策を独自の技術で解決=中田淳介撮影

八洋では募金型自動販売機や災害救援自動販売機など、様々な機能を備えた自動販売機を扱っている。

八洋は、募金型自動販売機や災害救援自動販売機、AED自動販売機など、自動販売機に様々な機能を持たせ、福祉面へアプローチをしているという。
特に私が気になったのは、募金型自動販売機のボランティアベンダーだ。飲料を1本買うごとにボランティアベンダー協会に3円ずつ寄付される仕組みの自動販売機だ。八洋は27年前からこのボランティアベンダーを展開している。
寄付の3円の内訳は、八洋から1円、自動販売機の設置先から1円、飲料メーカーから1円。少額の募金だが、それが逆に募金をしてみようと思う一つのきっかけになるのではないだろうか。例えば、レジ横の募金箱など募金する機会は日常生活の中に他にもあるが、いくら募金するのが妥当なのかと考えるとどれもちょっとしたハードルを感じてしまう。募金型自動販売機はそのようなハードルがなく、気軽に募金に参加できるのではないか。事実、これまですでに1億4千万円が寄付されている。
八洋は、自動販売機が身近であることを強みにSDGsに貢献している。(文責:柏原)

災害救援型自動販売機とは、災害対策本部が設置されるような災害が発生した時、誰でも無償で自動販売機内の飲料を受け取れる自動販売機のことだ。2022年8月25日時点で、40734台設置されており、バッテリー式、ワイヤ式、ハンドル式の3種類ある。
バッテリー式は通常時、バッテリーに電気を蓄えておき緊急時でも動作するように作られている。ワイヤ式は、電気を使わずワイヤを引っ張るだけで自動販売機内部の飲料を取れる。ハンドル式は、ハンドルを回して発電し、その電力で飲料を取れるしくみだ。飲料代金は自動販売機の設置者には請求されず、八洋が負担する。今回、ワイヤ式を体験させてもらった。思ったよりも粘り強く回す必要があり、力も必要なので女性にはかなり大変だなと感じた。(文責:赤木)

災害救助型自動販売機
災害救助型自動販売機の種類と使い方を説明する八洋の松岡さん=赤木秀撮影

八洋では、飲み終えたあとのペットボトルをリサイクルする廃プラ問題対策にも力を入れています。同社によると、自動販売機の隣に設置されている空き容器回収ボックスには、ペットボトル以外のタバコや酒類容器など約3割のゴミが入れられているといいます。せっかく回収した容器が散乱する原因となったり、リサイクル容器の質を下げたりする影響が出ています。

街の自動販売機横にある回収ボックスに異物が引っかかっているのを見たことがあるのではないだろうか。回収ボックスはごみ箱ではない。異物が混入すると、ボトルや缶のリサイクルの質を低下させる。
業者が分別する際に異物が混ざっていても一様に焼却されるため、リサイクルするためには正しい分別が求められるのだ。飲み残しがあっても中身が劇薬である可能性もあるため、正しくリサイクルされないのが現状だ。そのため我々が正しい分別をする必要がある。(文責:中田)

自動販売機の横に設置されている空き容器回収ボックスは、本来はペットボトルなど自販機で購入した空き容器専用のリサイクルボックスだが、紙くずや家庭ゴミなどが捨てられていることが多いのだという。そこで、八洋と清涼飲料業界が協力して、捨てたものが見える透明のボックスや投入口が下向きについているペットボトル専用のボックスを設置した。(文責:赤木)

ここ最近は、ペットボトルにも進化があるという。例えば、ペラペラで幅の狭いラベルを見たことがあるだろうか。このラベルは従来のものよりプラスチック使用量が少なく、熱による吸着がしにくい。さらにラベルレスのペットボトルも普及し始めている。
また、自動販売機の商品見本も従来のような立体的な物ではなく、一枚の薄いプラスチックを半円に立てるなどして、プラスチック使用量を減らしている。この方法は、付け替えの作業量も減らせるため効率がいい。(文責:中田)

取材後記

いま注目されるのが「水平リサイクル」である。使用済みの商品を同じ商品へ生まれ変わらせるリサイクルシステムのことで、ペットボトルでは「ボトル to ボトル」とも呼ばれる。このシステムがうまく進めば、ボトル to ボトルの割合が増え、新たに石油資源を使うこともなくなるのではと思った。
今回話を聞くなかで、エコの観点からも八洋独自の様々な趣向を凝らし、気候変動対策を講じていて、細かいところまで丁寧に気を配り、工夫をし続ける姿勢が認められるということはすごいことだと感じた。(中田)

自動販売機を通じたSDGsの取り組みが具体的に思いつかないまま取材に挑んだため、多くの収穫があった。
福祉に関する話はもちろん、環境に対する配慮や自動販売機の仕組みなど普段知ることのできない話を聞くことができ、充実した時間となった。見える部分や、わかりやすい部分ばかりに目が行きがちになるが、その裏には目に見えない多くの努力があり、八洋のこまやかな努力の積み重ねが、世界規模で行われているSDGsに貢献していることに気づけた。(柏原)

プラスチックのリサイクルや省エネ対応の自動販売機の設置はもちろん、空き容器回収ボックスにも工夫を施すなど、様々な場面で環境に配慮した施策をしていることを知り、リサイクルしやすく工夫された空き容器回収ボックスの設置を進めていることに驚いた。取材をすると、「そうだったんだ!」「そんなことまでしていたんだ!」「そんなことがあったんだ!」という気持ちがわいた。八洋の事業やリサイクル、SDGsについて、より深く知ることができたなと感じた。貴重な話ばかりで、大変楽しい経験をすることができ、本当に良かった。(赤木)

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