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女性の更年期、自然体で受け止めよう 周囲の支えも一助に ミライテラス開催  

更新日 2023.01.25
渡辺元史
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標5:ジェンダー平等を実現しよう

ビジネスの世界でSDGsがどう展開されているかを学ぶオンライン企画「SDGsミライテラス」が1月19日、「女性の更年期と働き方」をテーマに開かれました。「誰ひとり取り残さない」というSDGsの理念に即した内容です。第1部はタレントの渡辺満里奈さんが出演し、「借りられる手は借りよう」「なんでも相談できる人を」と呼びかけ、視聴者の共感を得ました。第2部は美容家・起業家の山本未奈子さんが自身の体験に基づいたビジネスを語り、昭和大学医学部准教授の白土なほ子さんが更年期の症状や対処法を解説。伊藤忠商事の林早苗さんは、出資先フェルマータの取り組みを紹介しました。

(SDGsミライテラスのサイトはこちら

SDGsミライテラスに出演した渡辺満里奈さん=2023年1月19日、東京都港区 写真はいずれも川津陽一氏撮影

子の思春期と重なった更年期 渡辺満里奈さん

渡辺満里奈さんは最近、「これが更年期の症状なのかな」と感じるようになりました。関節が痛んだり、気持ちがいらいらしたり、ちょっとしたことで落ち込んだり・・・。子どもの思春期と更年期が重なり、必要以上に怒ったり、子どもに反抗されて落ち込んだりしたことがありました。「私は楽観的ですが、このままどうなるのだろう、というくらい落ち込んだことがありました。更年期(の症状)なのかなぁ、と思いました」。

司会進行を務めた、フリーアナウンサーの根本美緒さん

「ひとりで抱え込まないで」「自分を大切に」

これまで母親としての役割を優先してきたものの、最近は「自分をいたわっても良いのではないか」と考えるようになった渡辺さん。落ち込んだときは1人で映画を見たり、友人と出かけたりしています。夫でお笑いトリオ「ネプチューン」の名倉潤さんが体調を崩したときは、眠りにつく前に涙を流すほど不安でしたが、友人に不安を吐き出してすっきりしたといいます。「みんな等しく年をとります。一人で抱え込まないで、吐き出すことはすごく大切です。なんでも相談できる人を見つけてください」と話しました。

視聴者には「自分を後回しにしている女性も多いと思います。でも、自分を大切にしないと人のことも大切にしてあげられない。自分をいたわって、より良い人生を送れるようにしましょう」と語りかけました。「満里奈さんの前向きな話に引き込まれました」という感想が多数寄せられました。

山本未奈子さん。開催後、「率直な語り口でファンになりました」との声が事務局に多数寄せられた

体験語った山本未奈子さん 1月に職場復帰

第2部には、ウェルネスブランド「SIMPLISSE/シンプリス」とフェムテックブランド「Bé-A〈ベア〉」を手がける2社を経営する山本未奈子さんが登壇しました。山本さんは42歳で生理不順になり、更年期と診断されました。「忙しすぎて、自分に向き合えていなかったのが反省点です」。症状が重く、ホットフラッシュ(発汗)や頭痛、耳鳴りに悩まされました。仕事が忙しく、我慢する日々を過ごしてきましたが、昨年のある朝、起き上がれなくなり、涙が止まらなくなりました。無気力の自分にも気づきました。2カ月間寝たきりの状態が続きましたが、治療と静養を経て今年1月に職場に復帰しました。

「相談できる社会に」ビジネスで課題解決めざす

いまは、「元通りの自分に戻った」とした上で、こう語りました。「更年期のつらさや悩みを『他人に話すのが恥ずかしい』というフェーズ(局面)をやめ、周囲にオープンに相談できる世の中になってほしい。心地よい更年期をめざしていけたら良いですね」。

昭和大学医学部准教授の白土なほ子さん

更年期の病態を解説、昭和大学医学部の白土さん

女性の更年期は閉経前後の各5年、計10年間を指します。卵巣機能の低下で女性ホルモン「エストロゲン」が減ることに起因し、先述のような諸症状が見られます。個人差が大きく、症状がない人もいます。昭和大学の白土なほ子さんは、更年期の病態や症状、対処法をスライドで説明しました。年齢別の不定愁訴を説明し、「ほてりやのぼせは必ず終わりが来ます。不正出血も落ち着いてきます。長く続くようでしたら、ほかの病気を疑う必要が出てきます」と話しました。

「コスモス外来」も 50代の生活を可憐に

更年期の症状は生理不順、ほてりやめまいなど、200~300もあると言われます。ホットフラッシュや不眠の症状がでると、人付き合いがおっくうになり気分がふさぎ込む悪循環に陥ることもあります。更年期とわかれば症状を緩和する漢方薬などが処方されます。「当事者をみんなが見守っているという雰囲気が大切。本人に話しかけ、負担を減らすことも良いですね」。更年期外来の検査方法も説明しました。「更年期は思春期に対して思秋期と呼ばれ、『コスモス外来』という言葉もあります。かれんな感じで過ごしていければ良いのではないでしょうか」と締めくくりました。

伊藤忠商事の林早苗さん

成長する市場 伊藤忠、出資先の商品開発に貢献

伊藤忠商事の林さんは、フェムテック企業フェルマータに出資する部門の担当者です。2025年には、世界で約11億人の女性が更年期を迎え、更年期市場は約65兆円に達するそうです。出産や加齢による尿漏れ対策として骨盤底筋を鍛える商品やホットフラッシュを緩和するグッズを紹介しました。出資を通じてモノの力を感じているといい、「(更年期にまつわる)モノや情報に触れることで、男性や商品を使わない人との間でも会話が生まれている」と話しました。

担当前はこういった商品を知らなかった林さんですが、「世界のどこかで私たちの悩みに寄り添って企業を立ち上げようとする人がいると思うだけで救われます」と話しました。50代の自身は昨年、ホットフラッシュに悩まされ、健康管理のコーチに相談。朝食をとるように食生活を見直したところ、症状がかなり改善したそうです。「生活を見直すこと、そして、いろんな人に相談しまくることも良いと思います」と語りました。

第二部に出演したみなさん

山本さんが「更年期の症状を感じたときは自分に甘くて良いと思います」と話していたのが印象的でした。男性を含むすべての人が女性の更年期を正しく理解し、支えることが誰も取り残さない社会の実現につながると思います。

writer:渡辺元史

朝日新聞マーケティング戦略本部

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