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温暖化で産地激変? コーヒーの2050年問題 中大記者がミライテラス取材

更新日 2022.07.06
「中大スポーツ」新聞部・小野澤美優
目標1:貧困をなくそう
目標12:つくる責任 つかう責任
目標13:気候変動に具体的な対策を

伊藤忠商事と朝日新聞社が共催しているオンライン企画「SDGsミライテラス」は6月16日、「コーヒーの2050年問題」を取り上げました。地球温暖化で将来、コーヒーの産地はどうなるのでしょうか。小規模農家の不安定な収入は改善されるのでしょうか。何げなく飲んでいるコーヒーの背後にある課題を考えました。 

(SDGsミライテラスのサイトはこちら

海外産が大半 複雑な供給網で一元管理難しく

コーヒーは海外産が大半で、輸出や輸入、加工といった多くの過程を経て消費者の手に届きます。この流れをサプライチェーン(供給網)と呼びます。前回取り上げた「持続可能なファッション」と同様の特徴を持っています。そのため、コーヒー産業は、サステナビリティのための一元的なコントロールが難しい産業であると言えます。 

地球温暖化はコーヒー生産にも影響してきます。まず、2050年には人気品種であるアラビカ種の栽培可能範囲が大幅に減ると予測されています。また雨期と乾期のリズムが狂い、メリハリが弱まることで病害虫の大量発生を引き起こし、生産量の大幅な縮小リスクも存在します。地球の人口は増加傾向にあり、暮らし向きが豊かになってきた途上国も少なくありません。そのため、コーヒーは今後も需要拡大が見込まれます。需給のバランスを維持し価格の高騰を防ぐためにも温暖化への対応は急務です。

農家の収入安定を 100%サステナめざすUCC

コーヒー生産農家の80%が途上国の小規模農家です。コーヒー豆の価格は投機性があり、価格変動が激しいので安定していません。そのため、収入の不安定さも課題になっています。コーヒーを生産し続けてもらうためには、設備や栽培方法などの技術普及・待遇改善の2点が要求されます。  

出演したUCCコーヒーアカデミーの村田果穂さん。抽出のプロだ=東京都港区

UCCグループはコーヒーのバリューチェーンを“垂直統合”する世界で唯一のコーヒー会社です。サステナビリティ推進室の関根理恵さんは「生産から販売まで一括管理することで、現場の実態を知った上で消費者に製品を届ける方法を考えられることが強み」と話していました。 

2030年までに自社ブランドを100%持続可能なコーヒー調達にする指針を掲げたことを報告しました。 

NPO ネパールで栽培支援 「豊かさ」がカギ

ネパールでコーヒー生産に取り組む農家(NPO法人Colorbath提供)

NPO法人Colorbath(カラーバス)はネパール農家の所得改善をめざし、品質の高いコーヒー栽培・販売の支援を行っています。コーヒーを生産したことのない農家の方々に苗を渡し、ともに植えるところから、必要な機材・工場の提供、そしてオンラインストアでの販売まで包括的なサポートを行っています。 代表理事の吉川雄介さんは「貧困解決のための雇用創出や、コーヒー生産を通じて地球環境を守っていこうと考えている」とした上で、「大切にしているのは、ネパールの農家の優しさ、現地の自然の優しさを一杯のコーヒーに込めてお届けしたい、ということです」と話しました。キーワードは「(現地の)豊かさ」ということでした。 

オンライン出演した吉川雄介さん(右)

消費者と生産者をつなぐサステナ 伊藤忠

出演した伊藤忠商事コーヒー課の岡本夏樹さん

伊藤忠はコーヒーの生産者を、顧客を意味するスペイン語「クリエンテ」と呼んでいます。生産国の人々を大切なビジネスパートナーとして捉え、尊敬する意識からです。誰かの満足のしわ寄せが他の誰かにいってしまう状態のままでは持続可能であることはできません。

そこで伊藤忠はFarmer Connect SA社に出資し、コーヒー生産の可視化に取り組んでいます。 そのサービスを活用すると購入した商品の生産者情報や原料の生産地、焙煎(ばいせん)先などのコーヒーの情報を知ることができ、よりコーヒーを楽しむことができます。 生産地に対する敬意を持ち、消費者と生産者の両者の幸福が達成できることで初めて持続可能なコーヒー生産は成立します。 

コーヒーの付加価値 産地の課題に気づこう

私たち大学生が持続可能なコーヒー生産に貢献するために必要なことを尋ねると、伊藤忠の岡本夏樹さんは「まずは産地や課題に少しずつふれ、話題に出してみること」が必要だと話しました。

UCCの関根さんは「コーヒーの付加価値に気がつくことが必要です」と話しました。日本は安くておいしいものを当たり前に手にできるため、付加価値に対する認識が薄く、お金を出し渋る傾向にあるそうです。コーヒーを買いに行く際、「このコーヒーはなぜ100円高いのか」と考えた上で、購入する。商品の背景や付加価値を理解すれば、私たち大学生も持続可能なコーヒービジネスに貢献できるのではないでしょうか。  

7月は村木厚子さん講演「私らしい生き方とは」

「SDGsミライテラス」の4回目は7月21日(木)18時、伊藤忠商事取締役で元厚生労働事務次官、村木厚子さんの講演会を予定しています。子育てしながらキャリア官僚としての研鑽(けんさん)を重ねてきたものの、郵便不正事件に巻き込まれて164日間勾留された経験があります。無罪確定後に職場復帰し、その後次官に就任。いまは伊藤忠で多様な人材をいかし、働きがいを感じる職場づくりに取り組んでいます。若い人へのメッセージも話す予定です。参加無料でミライテラスの特設サイトからお申し込みできます。お申し込み頂いた方は見逃し視聴ができます。都合のつくときにご覧下さい。

writer:小野澤美優

「中大スポーツ」新聞部

中央大学法学部政治学科3年。長野県出身。専攻は国際政治。高校時代にはバレーボールにマネージャーとして携わる。現在は取材、新聞のレイアウト業務に奔走中。将来は広告代理店に就職し、企業宣伝に携わりたい。20歳。

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