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SDGsミライテラス始動 海洋ごみの再資源化 プラスチックの課題とは? 早稲田の学生新聞記者が取材

更新日 2022.05.27
早稲田スポーツ新聞会・鬼頭里歩
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
目標12:つくる責任 つかう責任
目標14:海の豊かさを守ろう

ビジネスの世界でSDGsがどのように展開されているかを学ぶオンライン企画「SDGsミライテラス」が始まりました。初回は4月21日、海洋プラスチックごみをテーマに学びを深めました。伊藤忠商事本社(東京都港区)から中継され、私たち学生新聞の記者も会場を訪れ、様子を取材しました。この企画は関東学生新聞連盟・関東大学スポーツ新聞連盟と協業しており、今後も学生記者が取材し、記事をサイトに載せます。

根本美緒さんが司会進行 海外からの視聴者も

この企画は、持続可能な社会に向けて、伊藤忠商事と朝日新聞社が協力して実現したものです。中学生から大学生までの若年層を意識し、当事者が実例を分かりやすく紹介するのが特徴です。海外からの視聴者もいました。司会進行は、気象予報士の資格を持つフリーキャスターの根本美緒さんが務めました。(SDGsミライテラスのサイトはこちら

MCを務めた気象予報士でフリーキャスターの根本美緒さん(右)や出演者に質問する各大学の学生新聞記者=4月21日、東京都港区の伊藤忠商事

利便性の裏側で プラスチックごみの悪影響

初回は、私たちの身の回りにたくさん存在するプラスチックにまつわる海洋環境の問題が取りあげられました。新型コロナウイルスの感染対策として使われる不織布マスクも、プラスチック製品である、ということが説明されました。プラスチックは、ペットボトルや化粧品のラメ素材などにも用いられています。軽くて衛生的で、簡単に変形できるので、この50年で一気に普及しました。一見メリットばかりのように見えるプラスチックですが、街中でポイ捨てされた結果、海洋ごみとして漂流し、生態系に影響を及ぼすことが指摘されています。海岸の景観を損ねる悪影響も問題視されています。 

長崎県の北側に位置する離島の対馬市は、豊かな恵みをもたらす漁場があることで知られる一方、近年はその地形から「海洋ごみの防波堤」とも呼ばれています。年2万〜3万立方㍍のごみが漂着し、そのうちプラスチック製品は約3分の2を占めています。

豊かな海の恵みをもたらす対馬市の志多留海岸(同市SDGs推進室、前田さんの発表資料から)
趣味は釣りという前田さん。対馬の海で釣ったマダイとイトヨリも紹介されました(同上)

 出演した対馬市SDGs推進室の前田剛さんは「拾っても拾っても、ごみが漂着します」と海洋ごみに頭を悩ませていることを説明しました。市では長年プラスチックの再利用に取り組んでいるといいます。市の海岸線は約915㌔。予算の都合でごみの回収を行えるのは年に1度だけ。漂着後、早く回収しなければ微細なマイクロプラスチックへと形を変えて海へ再流出してしまいます。 

大漁旗を背景画面にして出演した対馬市役所の前田さん

環境問題にビジネスの視点を 対馬発の再資源化

伊藤忠商事はそんな対馬の課題に着目し、2019年から海洋プラスチックごみの再資源化の事業を進めています。担当の小林拓矢さんは海岸に漂着したポリタンクを資源として再び使うことで、持続的なビジネスをめざしています。「慈善事業で環境問題に取り組んでも、持続性がない場合が多い。ビジネスの視点を取り込むことで、事業自体に持続可能性を持たせたい」と話しました。 

出演した伊藤忠商事の小林さん(早稲田スポーツ新聞会・早大商学部2年、田中葵撮影)

プラスチックと一口に言っても数多くの種類があります。同じ種類の素材で構成された製品でなければリサイクルできないことがリサイクルの難しさだそうです。現在、ポリタンクを使っているのも、そうした理由からです。小林さんは「さまざまな分野の人とつながることができる総合商社の強みを生かして、今後も課題解決に取り組みたい」と語りました。若い世代に対しては、「まずは社会でどのようなことが起きているのか現状を知り、自分なりに考え、自分の軸になるものを見つけてください」とエールを送りました。

SDGsと聞くととてつもなく大きな社会課題に聞こえてしまい、何から行動に移していいのかよくわからないと感じる人もいるかもしれません。しかし、これらの問題は一人ひとりの行動によって変えていくことができると感じました。ごみをポイ捨てしない。あるいは、リサイクルに出す。身近に存在している仕組みを理解し、活用する意識を持つことが環境問題への取り組みの一歩になるでしょう。安いから買う、ではなく、その製品の背景にまで目を向けることができるように意識したいものです。 

    ◇

次回5月19日「持続可能なファッション」受付中

「SDGsミライテラス」は今後も月に1度、ゲストを招きSDGsの展開について多角的に考察します。次回は5月19日(木)18時から。テーマは「持続可能なファッション」で、世界2位の汚染産業といわれるアパレル業界の構造的な課題と最新動向をお伝えします。上智大地球環境学研究科の織朱實教授(環境法)と伊藤忠繊維原料課長らが出演します。参加無料でミライテラスの特設サイトからの申し込みが必要です。お申し込みいただいた方はアーカイブ視聴できます。都合のつくときにご覧ください。

3回目は6月16日(木)18時から、「コーヒーの2050年問題」を取りあげます。気候変動と世界的な消費の増加によって、コーヒーの産地が危機に陥る可能性が指摘されています。産地や業界構造に熟知した当事者が出演、現状を分かりやすく説明します。

スタニスラスさん 収穫したコーヒーの実を選別/収穫したコーヒーの実を水に沈め、浮いてきた実を選別するスタニスラスさん(中央)=6月25日、ルワンダ西部カロンギ郡

UCCホールディングスのサステナビリティ推進室課長やNPO法人「Colorbath」代表理事、伊藤忠コーヒー課トレード統括らが出演します。申し込みは19日からミライテラスの特設サイトで受け付けます。

7月は社外取締役・村木厚子さん講演会

4回目は7月21日(木)18時から、伊藤忠商事社外取締役で元厚生労働事務次官、村木厚子さんの講演会を予定しています。是非ご期待下さい。3回目の企画終了後、申し込みの受付を始めます。

writer:鬼頭里歩

早稲田スポーツ新聞会

早稲田大学教育学部3年。広島県出身。大学スポーツの取材に奮闘中。専門は地理学。将来は防災報道に携わる記者になりたい。21歳。

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