【SDGs全国フォーラム2019】日本各地から世界へ発信する「SDGs日本モデル」とは?(前編)

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アメリカ・ニューヨークの国連本部で昨年(2018年)7月に開催された、グローバルな視座からSDGsを考えるハイレベル政治フォーラムで、日本政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年大阪・関西万博にも言及しつつ、2030年に向けて諸外国、民間企業や市民団体などともにSDGsに取り組む姿勢を改めて発信しました。

 
人口減少・超高齢化など、地域が直面する社会課題が山積みとなってきた今日。これらの解決に向けて多くの自治体、民間企業、市民団体がSDGs事業で連携することで、日本がSDGs先進国となり、国際社会への寄与を目指すーーそうした政府を含めた全国的なSDGs普及の機運を受けて、2019年1月30日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で「SDGs全国フォーラム2019」(主催・神奈川県、共催・横浜市、鎌倉市)が開催されました。

 
フォーラムは、当初定員450名に対して応募は4倍近い1700名以上に。SDGsへの関心の高さを示すイベントとなりました(最終来場者数は1215名)。全4部構成、計9つのプログラムで構成する今回のフォーラムの大きなテーマは、「SDGs日本モデル」宣言の発信です。

 
「SDGs日本モデル」宣言は、
①自治体主導の官民連携のパートナーシップによる地方創生
②企業・金融の力を生かした社会的投資の拡大とイノベーション
③世代、ジェンダーを超えたパートナーシップによる住民が主役となるSDGsの推進

から構成されています。

 
これらは、政府が推進するSDGsアクションプランのキーワードでもあり、2018年7月のハイレベル政治フォーラムで日本政府が発表した「オールジャパンによるSDGsの取り組み」の中核となるものです。

 
SDGsへの理解を深めて、さらなる普及や拡大を目指すために、関係者が一堂に会したSDGs全国フォーラム2019。様々なメッセージ、ディスカッションの模様を紹介します。

第1部 「SDGs日本モデル」宣言を採択

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(黒岩・神奈川県知事)

 
「全国各地の自治体を中心に、地域からのSDGsの取り組みをリードするような、地域の課題解決と地方創生の実現を目指していく考え、決意を『SDGs日本モデル宣言』として発表します」。SDGs全国フォーラム2019は、冒頭の黒岩祐治・神奈川県知事のこうした挨拶から始まりました。

 
「SDGs日本モデル」とは、人口減少や超高齢社会など、日本が抱える社会問題と向き合いながら世界に発信するという、日本ならではのSDGsの取り組みの指針を表したものです。そのキーワードとなるのが「地方創生」と「官民の連携」だといわれています。

 
第1部では、この「SDGs日本モデル」を宣言するにあたり、まず政府を代表して片山さつき・内閣府特命担当大臣、阿部俊子・外務副大臣が登壇。現在、政府が推進するSDGsアクションプランについてさらに、SDGsは日本だけの取り組みではなく世界共通のテーマであり、世界各国の政府・団体とも連携して2030年に向けてSDGsの達成を目指すことが述べられました。

 
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(片山・内閣府特命担当大臣)

 
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(阿部・外務副大臣)

 
続いて2015年にSDGsを採択した国連を代表して、根本かおる・国連広報センター所長が登壇。SDGsの達成にはパートナーシップの広がりが必要不可欠と呼びかけました。

 
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(根本・国連広報センター所長)

 
「日本の自治体は、人口減少、超高齢化など、世界のフロンティア課題に立ち向かいながら、持続可能な地域づくりに立ち向かわなければなりません。その文脈において、『SDGs日本モデル宣言』が国、自治体、企業、NPOそして住民をつなぎ、全国の自治体が一体となって諸課題に包括的に取り組むことで課題解決の大きな推進力となっていくでしょう。フォーラムが多くの方々にとって刺激となり、さまざまなパートナーシップを築くきっかけとなることを願っています」(根本氏)。

 
そして会場では「SDGs日本モデル」宣言の採択が行われました。

 
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(代表署名をおこなう黒岩・神奈川県知事)

 
「SDGs日本モデル」宣言は、33都道府県93の自治体が賛同を表明。事前に署名されたボードに、黒岩・神奈川県知事と、徳島県知事で自然エネルギー協議会会長を務める飯泉嘉門氏がさらに代表署名しました。そして片山・内閣府特命担当大臣の立会人署名をもって、「SDGs日本モデル」宣言として正式に発表しました。

 
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(各地域の代表者および立会人が署名した「SDGs日本モデル」宣言)

第2部 「SDGs日本モデル」における自治体の役割

基調講演:自治体アクションプラン~2020年に3割超でSDGs取り組みへ

SDGs推進には自治体のリードが不可欠です。フォーラムの第2部では、政府で推進しているSDGsアクションプランに携わるふたりの担当者による基調講演と、「SDGs未来都市」の県知事・市長らによるパネルディスカッション、事例報告がおこなわれました。

 
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(遠藤・内閣府地方創生推進事務局参事官)

 
2015年の国連のSDGs採択を受けて、日本政府は翌2016年、安倍晋三内閣総理大臣を本部長とするSDGs推進本部を政府内に設置しました。全閣僚が構成員となり、SDGsを国内で推進していく実施方針などが盛り込まれた「SDGsアクションプラン」を採択。この「SDGsアクションプラン」のテーマのひとつとして「日本のSDGsモデル」の構築が挙げられています。

 
遠藤健太郎・内閣府地方創生推進事務局参事官は、この「日本のSDGsモデル」を実現させるプランの核となる、内閣府の取り組みを「地方創生に向けたSDGsの動向と政策」として紹介。

 
「現在、政府では大きくふたつの取り組みを推進しています。ひとつは“SDGsのモデル事例を構築していく”こと。積極的に取り組まれていく自治体に手をあげてもらい、SDGs未来都市および自治体SDGsモデル事業を選定し、その活動をサポートする仕組みを昨年(2018年)から開始しました。もうひとつは、“民間企業に対し、官民体制をドッキングする”ことです。地方創生を官民が連携して取り組めるプラットフォームの形成を目指します。

 
このふたつの政策を展開することで、SDGsを実現するためのベスト・プラクティスを創出し、そこで得たプランを全国に広げていく普及促進活動に生かしていきます。目標は2020年には全国の3割を超える自治体がSDGsに取り組んでいる状態をつくること。昨年(2018年)11月時点ではまだ5%程度なので、まずは『SDGs未来都市モデル事業の選定』を進め、地方創生を深化させていきます」(遠藤氏)

 
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(甲木・外務省国際協力局地球規模課題総括課長)

 
続いて登壇した甲木浩太郎・外務省国際協力局地球規模課題総括課長は「持続可能な開発目標(SDGs)のローカライゼーション」をテーマに講演しました。外務省は、政府の「SDGs推進本部」の事務局を担っており、とくにG20サミット、第7回アフリカ開発会議が日本で開催される今年2019年をSDGs推進の重要年、と位置づけています。

 
「政府が推進するSDGsアクションプランの3本柱である『企業とSDGs』『地方創生とSDGs』『次世代と女性のエンパワーメント』に取り組み、日本ならではのSDGsのかたちをつくって、大企業から中小企業に広げ、全国にSDGsの活力を行き渡らせます」

 
「大企業を中心に、自社の企業価値を高めていくために、SDGsを企業活動の中核にすえながら取り組んでいる動きがありますが、今後は、どうしたら中小企業がSDGsを成長の活力に使えるのか、ということが大きな課題です。SDGsに取り組む中小企業の社員やサービスが市場から高く評価をされ、ビジネス環境全体が改善していく形ができればと考えております」。

 
甲木氏は、「自治体が、地方と中小企業の“接着剤”として、しっかり仕組みづくりを支えて後押ししてほしい」と呼びかけました。

 
そうして地域の次世代を担う若者、女性が愛着を持って住み続けられるまちづくりを実現していくのが、政府が目指す「持続可能な開発目標(SDGs)のローカライゼーション」のねらいです。

 

パネルディスカッション:SDGs未来都市等からの提案

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第2部のパネルディスカッションは、「SDGs 未来都市等からの提案」と題して、「SDGs未来都市」に選定されている自治体などから、各首長が登壇しました。各地域のSDGsの事例紹介とともに、SDGsに取り組むにあたっての課題や問題点などが議論されました。パネルディスカッションのモデレータをキャスターの国谷裕子さんが務めました。

 
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(国谷氏)

 
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(黒岩・神奈川県知事)

 
「“いのち輝く神奈川”を目指していますが、“いのち”のためには医療が充実するだけでは駄目です。個々の担当部署が違っていて、繋がらないのが一番の問題です。そこで、環境や教育などと一緒に進めていくことが重要で、これはまさにSDGsそのものです」 とまず、黒岩・神奈川県知事が指摘しました。

 
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(松尾・神奈川県鎌倉市長)

 
続けて、松尾崇・神奈川県鎌倉市長も、「数年前から、市民みずから、行政に頼らない街づくりに取り組んできました。NPOセンターなど、官がつくって、民が動かしたものもあります。今後はどうやって“産官学民”で乗りきっていくか。自治体が中心になって連携をつくり、全体都市で取り組んでいくことが大事です」と、連携することの大切さを説きました。国谷さんから「県と市がどう協業できるのか」という問いが投げかけられ、パネリストからは、「トップのリーダーシップで大きなビジョンを目指すこと」といった意見が出されました。

 
また、「これから鍵となるのは、中小企業やNGOとの連携。そのなかで求められていることは?」との質問には、それぞれの自治体から事例が挙がりました。

 
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(牧野・福井県鯖江市長)

 
「4人以下のファミリー零細企業が多いので、収益性重視。どうやって危機感を持ってもらえるのかを考えていきます」(牧野百男・福井県鯖江市長)。

 
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(鈴木・静岡県浜松市長)

 
「浜松市では、地元の皆さんが、太陽光発電を新しい事業として取り組んでいます。官との連携で電力会社も作りました。これらの動きを主導しているのは市ですが、走り出せばいろんな団体が参加してくれます。最初にリーダーシップをとる火付けは、やはり行政ですね」(鈴木康友・静岡県浜松市長)。

 
「自治体がSDGsのムーブメントをつくっていくうえでの課題は?」という質問に対しては、竹内千尋・三重県志摩市長が、「変革はローカルから。仕組みづくりに力をいれることと、SDGs目標達成のための心持ちを大事にすることです。未来の子どもたちのためにも」と語りました。

 
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(竹内・三重県志摩市長)

 
【SDGs全国フォーラム2019】日本各地から世界へ発信する「SDGs日本モデル」とは?(後編)

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