朝日新聞社が2月に実施した第9回SDGs認知度調査で「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人が約9割に達し、「関心がある」とした人は初めて半数を超えた。年代別では10代が認知度、関心、知識で最も高い値を示した。

同調査はSDGsに関する意識や行動を探るために2017年に開始し、年度ごとに1~2回実施している。9回目となる今回からは、調査項目の多くを、認知の度合いや中身について回答してもらう内容に変更した。
今回の調査に「SDGsという言葉を聞いたことがある」と回答した人は87.0%に達した。前回は76.3%だった。調査対象を東京と神奈川の2都県から47都道府県に拡大した第7回の認知度は45.6%。東京・神奈川の54.3%とは8.7ポイントの差があった。今回も東京・神奈川が全国を上回ったが差はわずか1.4ポイント。SDGsという言葉の認知はほぼ全国的に広まったといえよう。

年代別にみると認知度が最も高かったのは10代で90.5%。一方、最も低かったのが20代の79.5%。これを底に30代、86.8%、40代87.3%、50代88.4%、60代89.8%と年代が上がるにつれ、認知度が上がっていく。関心や知識についての調査結果も同じような傾向を示した。

SDGsへの関心についての自己評価を4段階でしてもらった。「非常に関心がある」または「少しは関心がある」と回答したSDGs関心層は全体の53.1%。前回調査(49.5%)より2.6ポイント上回り、調査開始以来初めて半数を超えた。関心が最も高かった年代は10代で72.4%、20代は45.8%で最も低かった。

知識を数値で比較するために、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略語である」「17のゴール(目標)がある」などの10項目について、「知っている」「聞いたことがある」「まったく知らない」で回答してもらい、それぞれを2点、1点、0点として集計した。全体の平均は6.24点。10代は10.56点と最も高く、全10項目を「知っている」と答えた20点満点が全体の12.9%を占め、全得点の中で最も多かった。その他の年代で最も多かった得点は、全項目を「まったく知らない」と答えた0点。20代の26.2%が最も多く、平均も5.66点と最も低かった。

近い年代である10代と20代のこの差は「学校の授業」の影響とみられる。調査では10代の55.4%がSDGsを知ったきっかけを「学校で学んだ」と回答しているのに対し、20代は10.5%にとどまっている。2020~22年に小中高校で新学習指導要領が実施され、さまざまな教科の教科書でSDGsが盛り込まれた。そのため、現在の10代は授業でSDGsを学ぶ機会が多くなっている。

SDGs達成に重要なものを三つ選んでもらったところ、「国(政府)の取り組み」を挙げる人が最も多く50.0%。次いで「自分を含む個人の取り組み」で39.5%、「地方自治体の取り組み」「企業の大規模な活動」が22.8%で並んだ。10代の50.9%が「自分を含む個人」を挙げ、特に10代の女性では57.1%に達した。
実際に自らが取り組んだ行動としては「プラスチック削減」(51.7%)と「リデュース、リユース、リサイクル」(37.3%)を挙げる人が多く、この二つは「やったことがある」が、「関心はあるが、やったことはない」「関心がない」を上回った。以下「エシカル消費」「男女平等を心がけた行動」「途上国支援の募金」「SDGsの知識収集」「河川や海岸でのゴミ拾い」「フェアトレード商品の購入」の順で続くが、実施率はいずれも10%台だった。

今回は消費行動も調べた。SDGsに沿った商品か、SDGs活動に熱心な企業のサービスかどうかを購入や利用の際に「考慮したい」とした人は36.3%。性別では男性より女性、年代別では10代が高く、10代の女性は58.9%に達した。

商品やサービスの価格が「高くても」「やや高い程度なら」購入・利用するとした人は全体の23.9%と約4分の1を占めた。男女に大きな差はなく、年代では最も多いのが60代と10代で29%。最も低いのは30代で19%だった。

SDGsの関連用語の認知では、20項目のうち「知っている」と答えた人が最も多かったのは「食品ロス」の54.1%。「聞いたことがある」も含めた認知層は85.8%に達した。認知層は「再生可能エネルギー」の79.3%、「気候変動」の77.2%、「カーボンニュートラル」の73.4%の順で多かった。
■SDGs認知度調査 概要
〇調査対象:クロス・マーケティング社のリサーチパネルに登録している全国15〜69歳の男女
※2020年の国勢調査の人口構成比に基づき、『エリア(9区分)×性(2区分)×年代(6区分)=108区分』ごとに標本を割り付けた。
〇調査方法:インターネット
〇調査日:2023年2月10~13日
〇回収数:5000
第1回~第6回の調査エリアは『東京都・神奈川県』のみ。回収数は3,000程度で標本割り付けも今回とは異なる。第7回からエリアを全国に広げ、今回と同じ方法で調査している。
実施年月:第1回17年7月、第2回18年2月、第3回18年7月、第4回19年2月、第5回19年8月、第6回20年2月、第7回20年12月、第8回21年12月
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