朝日新聞社が2021年12月に実施した第8回SDGs認知度調査で、「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人が76.3%に達し、過去最高を更新した。前回調査(45.6%)から約30㌽増え、社会に急速に浸透している言葉であることがうかがえる結果になった。

全世代の認知度、7割超 まんべんなく浸透
調査は17年から毎年実施している。第1~6回は東京都・神奈川県を対象に、前回からは全国に地域を広げた。今回は5千人を対象にインターネットで調査した。
「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた男性は78.6%、女性は74.1%だった。年代別では50代と60代が最も高く、いずれも78.9%。40代が77.8%、30代は72.0%、15~29歳が73.8%で、どの世代も7割を超えた。

内容理解はいま一つ 取り組みに課題も
都道府県別では富山県の認知度が最も高く89.2%、秋田県(87.5%)、香川県(87.0%)、岩手県(86.5%)の順だった。37都道府県で70%を超えた。
職業別では、全職種で「聞いたことがある」が半数を超えた。管理職が86.3%、学生が83.8%、事務・技術職が80.0%だった。教育関係者は85.4%が認知していた。
その一方で、SDGsの内容については、「少し知っている」が56.2%、「ほとんど知らない」が28.0%。内容の定着にはまだ時間がかかるようだ。また、SDGsに関する取り組みを行っているかを尋ねたところ、「特に取り組むことは考えていない」が47.7%に達した。SDGsの言葉は知っているものの、具体的な事柄への理解が不足しており、自分事として取り組むことへの意識も道半ば、といった印象だ。

調査では、どのような目標や取り組み、活動に興味があるのかも探った。全員を対象に、SDGsの掲げる17の目標で関心のあるものを複数回答で尋ねたところ、「すべての人に健康と福祉を」が39.0%、「貧困をなくそう」が38.4%、「海の豊かさを守ろう」が30.8%、「安全な水とトイレを世界中に」が30.3%、「気候変動に具体的な対策を」が29.7%、「ジェンダー平等を実現しよう」が22.3%だった。

気候変動、ジェンダー、海の豊かさ 関心高く
前回と比べて「気候変動」は3.8㌽、「ジェンダー」は3.3㌽、「海の豊かさ」は2.5㌽それぞれ上昇した。2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする日本政府の目標が浸透し、企業でも脱炭素の動きが加速していることが気候変動の大幅上昇につながったとみられる。ジェンダーについては、働く女性の増加などに伴って関心が高まったと考えられる。また、海洋プラスチックごみの問題が大きく報道されたこともあり、「海の豊かさ」に対する興味も高まったようだ。
「SDGsを聞いたことがある」と答えた人に、どのような活動や取り組みに興味があるかも複数回答で尋ねた。「国の取り組み」が最も高く47.5%、次に「地方自治体の取り組み」が33.3%、「世界の活動」が31.8%、「個人の身の回りの取り組み」が27.3%、「国内企業の大規模な活動」が25.8%だった。前回と比べ、全項目が7~33㌽上昇した。

仕事でSDGsに取り組む際、課題となることも複数回答で尋ねた。「社会的な認知度が高まっていない」が49.8%と最も高かったものの、前回調査より10㌽スコアが下がった。「社内・団体内での認知度が低い」が30.9%、「活動の評価方法が不明」が29・1%、「リソースの不足」が24.9%と続いた。

■SDGs認知度調査 概要
〇調査対象:クロス・マーケティング社のリサーチパネルに登録している全国15〜69歳の男女
※2015年の国勢調査の人口構成比に基づき、『エリア(9区分)×性(2区分)×年代(6区分)=108区分』ごとに標本を割り付けた。
〇調査方法:インターネット
〇調査日:2021年12月14~20日
〇回収数:5000
第1回~第6回の調査エリアは『東京都・神奈川県』のみ。標本割り付けが今回と異なる。回収数は毎回異なるが、3,000程度。第1回17年7月、第2回18年2月、第3回18年7月、第4回19年2月、第5回19年8月、第6回20年2月、第7回20年12月実施
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※この調査の内容に関するお問い合わせ先
朝日新聞社マーケティング戦略本部SDGs担当
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