全国の、調査に参加した人の約5割が「SDGs」という言葉を聞いたことがある――。国連が定めたSDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)への関心の度合いについて、朝日新聞社が2017年から毎年実施している調査で、全国の5千人を対象に「SDGsという言葉を聞いたことがあるか」と質問したところ、「ある」と答えた人が45.6%に上ったことがわかった。前回までの調査対象の東京都・神奈川県に絞ると、認知度は52.7%で、今回初めて50%を超え、ほぼ2人に1人が「聞いたことがある」という結果になった。

第7回調査は2020年12月、全国の5千人を対象に行った。第1~6回は調査対象が東京都・神奈川県だったが、今回の第7回調査では、初めて全国に拡大。その結果、「SDGsという言葉を聞いたことがあるか」という問いに「ある」と回答したのは全体で45.6%に上った。男性は51.4%、女性は39.9%だった。
年代別でみると、「15~29歳」が52.1%で最も高く、次いで30代の48.1%、50代の44.8%、40代の43.9%。若い世代を中心に認知度が高まっていることがわかった。職業別では、管理職(65.4%)と学生(60.0%)が、いずれも6割に達し、教育関係者(59.7%)、事務・技術職(50.9%)も5割を超えた。
今回から調査設計を変えたため単純な比較はできないが、第1~6回と第7回の東京都・神奈川県の推移を見てみると、「SDGsという言葉を聞いたことがあるか」という質問に「ある」とした人は、前回の32.9%から52.7%へ大幅に上昇。初めて「ない」を上回り、SDGsが浸透していることがうかがえる。

都道府県別で見ると、富山県が最も高く61.4%。次いで三重県の55.6%、滋賀県の55.3%、神奈川県の54.3%と続く。50%を超えたのは9都県となった。

SDGsの内容について、「どの程度ご存じですか」と尋ねた項目では、「詳しく知っている」が12.1%、「少し知っている」が52.8%。「ほとんど知らない」と「全く知らない」をあわせると35.1%だった。
マクロな動きに、高い興味関心
SDGs関連の情報の中で、どのような目標や取り組み、活動に興味関心があるのか調査で探った。
全員にSDGsが掲げる17目標への関心を聞いたところ、関心の高い順に「すべての人に健康と福祉を」39.8%、「貧困をなくそう」36.4%、「安全な水とトイレを世界中に」31.8%、「飢餓をゼロに」30.1%、「人や国の不平等をなくそう」、「海の豊かさを守ろう」が28.3%と続いた。職業別では、学生が全体的にスコアが高く、「ジェンダー平等を実現しよう」では36.4%で、次に多い専業主婦(夫)と15.1ポイント差をつけている。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「より重要になったと思う目標」を尋ねた結果、「すべての人に健康と福祉を」(34.9%)、「貧困をなくそう」(20.4%)、「安全な水とトイレを世界中に」(13.6%)、「働きがいも経済成長も」(12.9%)などが上位にきた。
SDGsという言葉を聞いたことがあると回答した2282人に、SDGs関連情報の中で、どのような活動や取り組みに興味があるか尋ねた。その結果、全体で「国の取り組み」が最も高く50.2%。次いで「世界の活動」37.0%、「地方自治体の取り組み」33.1%、「国内企業の大規模な活動」30.7%、「国連の動き」27.1%だった。
認知度は高まるも、実行まではいま一歩
今回の調査では、目標達成に向けた課題も浮かび上がった。
「SDGsの内容をどうやって知ったか」との問いに「仕事で関わりがある」と答えた人に、「仕事でSDGsに取り組むにあたり、どのような課題があるか」と質問したところ、「社会的な認知度が高まっていない」との回答が約6割に上った。「定量的な指標など、活動の評価方法」、「社内、団体内での理解度が低い」、「政府の方針徹底、関与が希薄」なども、それぞれ2~3割程度の人が課題としてあげた。

調査では、企業や個人でのSDGsに関する取り組み状況についても聞いた。「SDGsという言葉を聞いたことがある」とした2282人に、「SDGsに関する取り組みを企業や団体、または個人として行っているか」、または「今後取り組みたいと思っているか」を聞いたところ、「既に取り組んでいる」と回答したのは12.9%。「取り組む予定である」(12.3%)「予定はないが取り組みたい」(35.9%)と意欲を見せる人がいる一方、約4割が「特に取り組むことは考えていない」と答えた。認知度が高まる中で、実際の取り組みへつながるには至っていない現状が明らかになった。

また、どのような活動に関心があるかも尋ねた。「取り組んでいる」「取り組む予定である」「取り組みたい」ともに最も多かったのは、「個人の身の回りの取り組み」。「地方自治体の取り組み」や「国内企業の地域レベルの活動」へも高い関心が寄せられた。 SDGsが掲げる17目標については、「すべての人に健康と福祉を」「貧困をなくそう」「海の豊かさを守ろう」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」などの項目に関心を持っている人が多かった。

■SDGs認知度調査 概要
〇調査対象:クロス・マーケティング社のリサーチパネルに登録している全国15〜69歳の男女
※2015年の国勢調査の人口構成比に基づき、『エリア(9区分)×性(2区分)×年代(6区分)=108区分』ごとに標本を割り付けた。
〇調査方法:ウェブアンケート
〇調査日:2020年12月10、11日
〇回収数:5000
第1回~第6回の調査エリアは『東京都・神奈川県』のみ。標本割り付けが今回と異なる。回収数は毎回異なるが、3,000程度。
第1回2017年7月、第2回2018年2月、第3回2018年7月、第4回2019年2月、第5回2019年8月、第6回2020年2月実施。
※この調査に関する記事やグラフを転載・利用する場合のご案内
https://www.asahi.com/shimbun/chizai/
※この調査の内容に関するお問い合わせ先
朝日新聞社コミュニケーションデザイン部SDGs担当
miraimedia1@asahi.com
関連リンク
SDGs認知度調査 第1回・第2回報告
SDGs認知度調査 第3回報告
SDGs認知度調査 第4回報告
SDGs認知度調査 第5回報告
SDGs認知度調査 第6回報告
SDGs認知度調査 第8回報告