2030 SDGsで変える

エシカル金融で生まれる誇り 預金も投資も買い物も、すべては社会を変える「消費」

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writer

末吉里花

一般社団法人
エシカル協会
代表理事

お金をどこに預けるか、そのお金はどう使われるのか

この記事を読まれる方のほとんどが、どこかの銀行に口座を持ち、お金を預けているはずです。では皆さんは、自分の銀行をどのような基準や理由で選びましたか? 親が使っていた銀行だから、自分が暮らす街にある銀行だから、大手の銀行だから、理由は様々だと思いますが、おそらく多くの方にとって、これといった大きな決め手はなかったのではないでしょうか。

 
エシカル消費のひとつの形として、「エシカル金融」があることをご存知でしょうか。消費というと、お金を支払ってモノを購入したり、あるいはサービスを受けたり、というイメージだと思いますが、自分の大切なお金をどこに預けるのか、預けた先でそのお金がどこに、どうやって使われているのかまで考えて行動することもエシカルな消費行動です。銀行は、私たちの預金を運用して、投融資をしています。その投融資先が、地球環境や地域、社会に犠牲を生んでいないかどうか、そういったことまで配慮している金融のあり方を「エシカル金融」と言います。

 
エシカル金融の中で、今最も注目をされている運動があります。地球温暖化の原因になる石炭などへの投資をやめる「ダイベストメント(投資撤退)」です。つまり、インベストメント(投資)の逆のことで、株や債券などの金融資産を引き揚げることにより、化石燃料関連事業を停止させ、脱炭素社会を実現する、という運動です。

 

化石燃料や原子力にお金を流さない「地球にやさしい銀行」選び

このような、お金の力を使って社会や地球を変えていく流れは、今や世界の潮流になりつつあります。世界では、ダイベストメントを表明した都市や企業の運用資産は6兆ドル(約650兆円)を超えたそうです。日本でもようやく原発や石炭の関連事業に融資をしている銀行から預金を移すという動きが始まったところです。

 
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(2017年2月、350.org Japan 特別シンポジウム「エシカル金融を始めよう〜私たちの選択が地球を救う〜」に登壇)

 
その後押しをしているのが、国際環境NGO「350.org」です。アメリカで発足したこの団体の日本支部が、個人や企業、団体に向けて積極的にダイベストメントのキャンペーン活動を行っています。昨年11月6日~12月12日の期間中、「レッツ、ダイベスト!~未来のために銀行を選ぶ1カ月~」というキャンペーンを実施。住み良い地球を守るために化石燃料や原子力にお金を流していない「地球にやさしい銀行」選びを促すキャンペーンを展開して、見事目標の100人の個人と5団体・企業のダイベストメントを達成させました。

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(2017年12月、「エシカル・コンシェルジュ講座」の講師として350.orgJapan代表の古野真さん=写真左=とスタッフの方々にお越しいただき、ワークショップを開催。写真提供:「350.ORG Japan」)

 
実はこれらの団体の中に、私たちエシカル協会も含まれています。私たちの協会は、人、地球環境、社会、地域に配慮されたエシカルな消費を推進しており、その考えを一般の方々に向けて広く普及しています。そこで、協会としても誠意を見せ、私たちの理念にあった銀行を選ぶ必要があると強く感じ、地球にやさしい銀行に口座をつくろうと考えました。

 
実際に、ダイベストメントにかかる手間や時間の負担は少なく、想像したよりも簡単に手続きをすることができました。ダイベストメントをして大きく変わったことといえば、地球にやさしい銀行に口座を開いた、という「誇り」が生まれた、ということです。協会として、まだまだできていないことはたくさんありますが、エシカルの考え方を社会に広めていく立場でもあるので、大切なお金の部分において、エシカルなアクションを起こせたことで、スタッフ全員の自信にもつながりました。

 

「ファーストバンク」が地球にやさしい銀行となるように

エシカル金融、というと、個人にとってはまったく関係のない話、と思いがちですが、実はエシカル消費のひとつとして捉えると、とても身近なテーマとして考えることができます。日本ではダイベストメントをしようとしても、地球にやさしい銀行の選択肢が少ないと感じています。今、日本にある、環境にやさしい銀行と言われているところは、環境や人権を犠牲にしていない、という「マイナス」がないことが評価されていると思いますが、環境や人権に「プラス」になる取り組みをしている銀行がもっと選択肢として生まれてきてほしいです。

 
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(写真提供:「350.ORG Japan」)

 
銀行の持つ影響力は多大なので、持続可能な社会・地球のためにできることはたくさんあるのではないでしょうか。例えば、日本の銀行が今後、環境や人権の問題を解決するために頑張っている民間団体や、民主的な草の根運動をしている小さな団体などに融資をするなど、声なき人たちや弱い立場の人たちの声に耳を傾けて、この銀行があったからこそ救われたね、と感謝されるような役割をより果たしてくれるよう、大いに期待しています。

 
 春を迎えて感じるのは、大学に入学する学生たち、あるいは社会人1年目を迎える若者たちにとって、「ファーストバンク」が地球にやさしい銀行となるように、今後も積極的にエシカル消費の普及を通じて、エシカル金融の大切さを伝え続けていきたいということです。

 
 
「SDGs」について、詳しくはこちら:SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例あり
 
 

  • writer末吉里花

    一般社団法人
    エシカル協会
    代表理事

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