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フードロスを楽しく解決する「サルベージ・パーティ®」で、冷蔵庫の残りものがおいしい料理に大変身!

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サルベージ・パーティで、余った食材を「救い出す」

いま、日本で盛り上がりを見せている「サルベージ・パーティ®」をご存知でしょうか?

 
サルベージ・パーティとは、2013年7月に始まった食材のシェアパーティのこと。サルベージは直訳すると「救出する」という意味で、まさしく家で余っている食材や、使わずに眠っている食材を「救い出す」ために、みんなで1か所に持ち寄って料理し、できた料理をみんなでシェアするパーティなのです。

 
これまでに、国内で60回以上も開催されているサルベージ・パーティ。今回は、足立区ゴミ原料推進課と一般社団法人フードサルベージ主催の “参加型” サルベージ・パーティを取材させていただきました。

 

“レシピなし” での料理がフードロスの解決につながる?

 
早速、参加者の皆さんが持ち寄ったフードロス食材をもとに、料理家である高田大雅さんがレシピを考案、グループごとに振り分けて料理をしていきます。一般社団法人フードサルページ 代表理事の平井巧さんは、サルページ・パーティに参加するにあたってその “楽しみ方” を提案します。それはなんと「レシピから卒業すること」。

 
このコンセプトのもと、高田さんが即興で考案したレシピには、普段見慣れている「野菜をひと口大に切って○分茹でたあと、○gの醤油と○gの油を混ぜてできたソースに絡める」などのような事細かな指示は書かれておらず、「この食材とこの食材を合わせる」のようなざっくりとした指示だけが書かれています。

 
ph2何の料理ができるのか想像がつくものから、まったくつかないものまで、さまざまな食材が並びました。

 
ph3振り分けられた食材とレシピ

 

「レシピがあると新しい食材を買いに行ってしまう」

 
「レシピ本やレシピ検索サイトに書いてあることを体現するのは、料理を学ぶうえで大事なことだと思うのですが、ずっとそれに沿ってやっていると、レシピ以上のことに発展しなかったり、そこに書いていない料理でないと作れないという頭になって、新たに食材を買いに行ってしまうきっかけを生んでしまいます。

 
それは別に悪いことではないのですが、たまにはそういった教科書からは外れて、自分で料理の幅を広めるために、この食材は家にあるこれで代用できるんじゃないかな? とか、材料が欠けて100点満点の料理でなくても、80点の料理が作れるんじゃないかな? ということを想像して作っていただけたら」。平井さんは、そう話します。

 
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シンプルなレシピを頼りに、参加者は想像力を働かせ、グループ内で相談しながら料理を仕上げていきます。レシピに余白があるからこそ、コミュニケーションが生まれ、参加者のクリエイティビティも刺激されている様子でした。

 

余りもの×余りもので、素敵な料理が!

 
そしてついに、グループごとに個性あふれる料理が完成!トマトと味噌の意外な組み合わせが人気だった「高野豆腐のトマトの味噌煮」や、缶づめの鮭を余りものの素麺を衣にして揚げたかき揚げそばなど、多様なメニューが並びました。残りものの食材でも、こんなに立派な料理ができるんですね。

 
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参加者からは、「料理の幅が広がった」「まだ家に余っている食材でいろいろ実験してみたい」「余ったもののなかにはもらいものが多いから、自分が人にあげるときにも気をつけよう」などといった声が上がりました。

 
また、普段他の人の前で料理した経験がなく旦那さんにも褒めてもらえないので、褒めあいながら料理できることや、経験・知識の共有ができるのが楽しいという主婦の方もいらっしゃいました。サルベージ・パーティは、つながりや関わりを生むコミュニティイベントとしても活躍しそうです。

 

“残したあと”までが料理。安価よりも使い切る量で選択を

 
最近では「Airbnb」と提携し、旅行者の方と一緒にスーパーで見切り品などを買ってきて、それを料理して一緒に食べるといったプログラムも行っているそうです。さまざまな国の文化に触れるなかで、他国との意識の違いから、日本が持つ課題が何かに気づいたと話す平井さん。

 
「日本人は“モッタイナイ”という精神があるので、もともとそこまで食品を頼みすぎないし買いすぎない。他国の人はとりあえず注文するとか、残すことを前提で料理をしたり注文する人が多いんですね。海外で販売されているパッケージも大きかったりするので、そういったこともあるんだと思います。

 
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ただ、他国の方は、残ったときにドギーバックで持ち帰ったりとか、残ったものをどうするかまできちんと意識が回る人が多い。一方日本では、もし残ったら捨てるという意識の人や飲食店が多い気がします。

 
お客さんも持ち帰るのはなんだか恥ずかしいとか、飲食店側が嫌がったりとか。責任取れないのでやめてくださいとかってなるんですね。ただ海外では持ち帰ることが当たり前に行われているところもあります。

 
そういった潔癖性である部分もそうだし、“価格”を決め手に買い物をしている人が多いこともフードロスの意識が広がりにくい要因の一つだと思います。参加者の方にも、安さに惹かれてまとめ買いをしたものを余らせる、という人もけっこういます」

 
「買いものの仕方」や「調理の仕方」に問題があることが、フードロスを生み出してしまっていると平井さん。しかし、イベントに参加する前に、冷蔵庫の中身を整理することで、「自分や家族の必要量」について考えたり、そこから買いものの仕方を見直すきっかけにもつながると話します。

 

お客さんが喜び、ロスもなくなる「もっと “まかない料理”があっていい」

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飲食店においては、平均14〜15%が廃棄になると予想したうえで価格設定をしていることがフードロスを生み出す要因になっていると高田さんは教えてくださいました。

 
「いま働いている会社は決まったメニューがないので、これとこれを合わせて作ってみようとかって、比較的柔軟に対応できるのでロスを出しにくいんですね。そういう柔軟な体制になれば飲食業のロスも減るかもしれません。前もって設定されている廃棄分が削れるだけでも、飲食店をやっていくのが楽になるのではないかなと思います」

 
余りものでつくったまかない料理やそれをもとにした裏メニューは、なかなか食べられないものとしてお客さんにとっても嬉しいもの。そういった“そのときにしかないメニュー”が、もっと当たり前になってもいいのかもしれません。

 

楽しみながら食に愛着を持つことが、フードロス解決につながる

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イベントに参加した皆さんには、「料理が楽しい」ということを何よりも持って帰ってほしいと平井さんは話します。

 
「目の前にある料理が、どこから来た食材で、どうやってできているかわからないで食べている人ってたくさんいると思います。料理って楽しい、食べるって楽しいってことから、1つひとつの食材がどうやって運ばれてきたのか、誰が作ってくれたのか、誰と食べるのか、そういったことに意識が向くことが何よりも大切。それは、食材に愛着がわくことにもなりますし、ひいてはフードロスの改善につながっていくと思っています」

 
平井さんはこういった食の楽しさに気づいてもらったり、食への関心を育てるために、今後は学校での親子向けイベントにチャレンジしたいとお話しされていました。

 

廃棄食料の4分の1を有効活用できたら、飢餓は解決できる

ph9政府広報オンラインより

 
現在、世界の年間食料廃棄量は、およそ13億トンにも及んでいます。これは、生産されている食料の3分の1に相当する量です。そして、私たちが住む日本では、国内の年間食料廃棄量はおよそ2,801万トン、まだ食べられるのにもかかわらず廃棄されている食料(=食品ロス)は、なんと640万トンにもなっており、世界でも上位に入っています。(環境省HPより)

 
この食料廃棄の半分は事業所から、もう半分は各家庭から出ているとあって、私たち生活者にも大きな責任があります。そして、適量を作らない適量を消費しない社会のしくみは、経済損失や無駄な生産を生み出し、ゴミの増加や余計なエネルギー消費により環境破壊を起こし、資源の枯渇へとつながるなど、さらなる社会問題を生み出してしまっています。

 
資源の奪い合いや環境破壊によって存在する世界の飢餓人口は、人口の11%にあたる8億1,500万人にまで上り(国連WFPより)、将来の人口増加の問題も叫ばれているなかで、私たち日本人は、1人ひとりが自分ごととしてきちんと向き合っていく必要があります。

 
こういった問題に対し個人でできることについて、平井さんは「安全に食べられる期限である消費期限と美味しく食べられる期限である賞味期限の違いを理解する」「食材を買いすぎず使い切る・食べきる」「食材をさまざまな料理に活用する」ことによって、解決に結びつけることができるとお話しされていました。

 
皆さんもまずは冷蔵庫を整理して、自分と家族の必要量をきちんと把握し、必要量を買うことからはじめてみませんか?

 
アジェンダ

 
 
「SDGs」について、詳しくはこちら:SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例あり
 
 
 
 
<編集>サムライト <WRITER>松尾沙織

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