2030 SDGsで変える

イケアに学ぶ「SDGs」へのコミットメントと、持続可能な企業づくり(2)

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前編はこちら:イケアに学ぶ「SDGs」へのコミットメントと、持続可能な企業づくり(1)
 

イケアでは、2020年までのSUSTAINABILITY戦略として「PEOPLE AND PLANET POSITIVE」を掲げ、SDGsの17項目をすべて網羅したアクションプランが用意されています。そこでは、具体的な数値目標が示されており、人と地球にポジティブな影響を与えるため、ビジネス全体に変化を起こすと力強く宣言されています。
なかでもイケアが注力して取り組むのは、

 
「Climate Change(気候変動)」
「Sustainable Energy(再生可能エネルギーの促進)」
「Equality(平等)」

 
の3つ。

 

3.「Equality(平等)」:女性管理職が50%! イケア・ジャパンが真っ先に女性活躍を実現した理由

 
そして「Equality(平等)」の分野で取り組むのは、「人々のコミュニティがより快適な毎日を送れるようにする」ための環境づくり。

 
イケアでは「共に働く仲間」という意味を込めて、従業員を “コワーカー” と呼んでいます。フラットな組織基盤づくりをモットーに、男女平等に配慮した制度や社内風土づくりに力を入れています。日本社会における女性管理職が12%と低い数字であるのに対し、イケアではなんと社員の50%が女性管理職だそう。

 
「イケアでは、“女性だからこれをやらなければいけない” とか、“この職種がダメ” ということがなく、“それぞれが自分らしくいる” ということが根本の考え方にあります。人の多様性において、性別や国籍などの生まれ持った第1要素と、結婚するかしないかなど選びとっていく第2要素があると私たちは考えています。第1要素で似た人がいても、第2要素においては人それぞれ。

 
その2つの組み合わせがあるからこそ、それぞれの見える視点や考え方があり、それはあなただからこそできるもの、という考え方です。そういった多様性の捉え方を、研修を通し全コワーカーに伝えていることも、そのような数字になった理由なのだと思っています」。広報部長の岩崎有里子さんはこう語ります。

 

コワーカーの幸せの先に、サステナブルな社会がある

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(IKEA Tokyo-Bayストアに併設する従業員用の託児所「Dagis(ダーキス)」。女性の活躍を支援する目的で設置されている)

 
 
「コワーカーには、安定した環境で一緒に働く仲間として、一緒に成長していって欲しいという考えから、私たちは働きやすい環境づくりを心がけています。

 
今まではフルタイマー、パートタイマー、正社員とくくりを分けており、それぞれに仕事内容も若干異なっていたのですが、2014年からは、それぞれのポジションで職務記述書を設け、1人ひとり面談をし、期待値とゴールをクリアにしています。また、パートタイマーの呼称を短時間正社員とし、時給幅を一緒にして、より平等な人事制度にしました。

 
新しい社員が入った際には、サステナビリティ・トレーニングを受け、今いるコワーカーもSDGsを含む最新情報や戦略についてトレーニングしています。SDGsは、個人と企業と政府、三位一体となって取り組まなければ達成できません。弊社では、個人のマインドセットも課題としています」

 

子どもの遊び場づくりにも貢献!自治体とともに貧困解決へ

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(※引用元:IKEA FAMILY 子ども募金

 
 
「子どもは社会の宝」という思いから、何よりも子どもにフォーカスしているイケアでは、ストアのなかにも「スモーランド」という子どもの遊び場が存在します。さらには、まちの子どもの遊び場づくりにも貢献しています。

 
2016年から取り組んでいる「IKEA FAMILY 子ども募金」というプロジェクトでは、IKEA FAMILY会員(年会費や入会費無料)となった人が、買い物時にカードをかざすと、そのうちの10円が積み立てられ、その積立金によって購入されたイケアの家具がストアの近くにある学校や子ども病院などの施設に寄付されるというプロジェクトです。

 
寄付先は、自治体とともに、どの子ども施設が支援を必要としているのかを相談して決めているそうです。2017年度には総額36,480,000円が集まり、1,000人の子どもたちを笑顔にしました。

 
そうして立ち上がったプロジェクトでは、寄付先の施設スタッフや子どもたちの声を交えながら家具を選定し、コワーカーが直接施設に出向いて組み立てていきます。

 
部屋の明るさや道具の整理整頓といった施設が持つ問題を解決するプロジェクトは、家具づくりや空間デザインへのノウハウをストックし、コワーカー同士のチームワークづくりや、やりがいの創出にもつながっています。

 

最後に:「2030」に向けて、気候変動へのコミットを加速

 
最後に、SDGsのゴールとなっている2030年に向けて、イケアが一番取り組んでいきたいテーマについて、岩崎さんに伺いました。

 
「一番取り組んでいきたいのは、気候変動の問題への解決です。皆さんの気候変動への意識はまだまだ遠く、日常ではアクションしづらいものという認識の方がほとんどです。

 
しかし、気候変動の影響はもう目の前で起きていて、必ずと言っていいほど次の世代に影響していきます。企業としては気候変動に対し、お客様と一緒に働きかけていかなければいけません。

 
再生可能エネルギー100%に加え、いかに二酸化炭素を出さずに商品を届けることができるか、輸送・配送も含めたサステナブル・モビリティを見直し、より低炭素な社会にしていく働きかけをしていきたいと考えています」

 
今回お話を聞いていて印象的だったのは「商品を購入する」という行為を通し、イケアと顧客がともに社会にアクションする、一緒に問題を解決していくという姿勢です。

 

「他社とともに発展していきたい」IWAYに沿った契約で持続可能な社会へ

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(※引用元:IKEA Better life for people and communities

 
 
また、他社との関係性においても、イケア創業者であるイングヴァル・カンプラードさんは、あるインタビューのなかでこのような言葉を残しています。

 
「イケアは、他社を倒そうとは考えず、他社とともに発展していきたい。 後進国の工場に乗り込んですべてを買い占め、さっさと引き揚げるような資本主義者たちのようなことはしない。関係を築き上げて、こちらの知識を与え、長期契約を結び、納期と品質と環境保護の重要性を伝えていく」

 
イケアでは、独自で作成した行動規約である「IWAY」に沿った行動を約束したサプライヤーでないと契約が結べません。さらに毎年監査が入り、それをパスしないと契約見直しになるほどの徹底ぶりです。

 
関係性を結ぶことにおいても、“ポジティブに影響していく”ことを大事にしていく。そこには、社会問題解決への本気度が伺えます。

 
現状世界にある深刻な問題を解決するには、企業やビジネスを通し、顧客も含めたそこに関わるすべての存在が、垣根を越えて協力し、SDGsアジェンダをもとに持続可能な社会を築いていくことが国際的に求められています。

 
あらゆる人が安心して生きることができる環境づくりを前提に、情報発信や対話を重ねることで、それぞれの立場を理解し合いながら、ともに影響し学び合っていく。

 
そして、ビジネスのスキームを通して、どの立場からも参加できる仕組みづくりを行うイケアには、持続可能な企業づくり、その先の社会づくりのヒントがたくさん詰まっていました。

 
「SDGs」について、詳しくはこちら:SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例あり

 
<編集・WRITER>サムライト

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