2030 SDGsで変える

イケアに学ぶ「SDGs」へのコミットメントと、持続可能な企業づくり(1)

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「資源のムダ使いは人類最大の病である。資源の取り扱いにイケアウェイを取り入れれば、小さな努力の積み重ねが大きな結果につながる」
 
これは、イケア創業者であるイングヴァル・カンプラードさんの言葉です。彼が話す『イケアウェイ』とは、一体どういったものなのでしょうか?

「“持続可能な資源調達”は企業の責任」

グレースケール強め
 
彼の哲学のルーツは、スウェーデン南部にある生まれ故郷にありました。彼が育ったのは、作物が育ちにくい、暮らすにはとても厳しい環境で、そこには無駄遣いをしないという文化が昔から根付いていました。そこでの暮らしは彼に多大な影響を与え、資源を大切にするというイケアのDNAにも刻まれている、といいます。

 
さらに イケアでは創業当時から「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンのもと、優れたデザインと機能性を取り揃え、より多くの人が購入できる手頃な価格で商品を提供するというビジネス理念が長く受け継がれています。
こういった理念を支える事業戦略は、

 
「GROWING IKEA(成長)」
「PEOPLE(人)」
「PERFORMANCE(パフォーマンス)」
「SUSTAINABILITY(持続可能性)」

 
この4本柱に支えられています。

 
イケアは、29ヵ国に355店舗を展開(2018年3月現在)し、グループ全体で毎年8億1,700万人の顧客を持つ大企業とあって、木材やエネルギーなどの使用する資源は膨大な量になります。そういったことから特に力を入れているのが「SUSTAINABILITY」です。

 
「日本においてもCSRやCSVといった言葉が主流になっていますが、イケアでは次世代や未来を視野に入れた事業戦略の必要性から、社会貢献事業を大きく捉え、サステナビリティとしています」とサステナビリティマネジャーのマティ絵莉さんは語ります。

 

イケアが取り組むSDGsとは? 注力して取り組む3つの対策

 
イケアでは、2020年までのSUSTAINABILITY戦略として「PEOPLE AND PLANET POSITIVE」を掲げ、SDGsの17項目をすべて網羅したアクションプランが用意されています。そこでは、具体的な数値目標が示されており、人と地球にポジティブな影響を与えるため、ビジネス全体に変化を起こすと力強く宣言されています。
なかでもイケアが注力して取り組むのは、

 
「Climate Change(気候変動)」
「Sustainable Energy(再生可能エネルギーの促進)」
「Equality(平等)」

 
の3つ。

 

1. 「Climate Change(気候変動)」:サステナブルな生活を支える商品が2,000億円の売上に

 
「Climate Change(気候変動)」に対しては、「多くのお客様のサステナブルで健康的な暮らしを支援する」というテーマのもと、節水、節電、ゴミの分別の啓発ともに、健康的な生活を送れるような1,108以上の商品とアイディアを提供しています。
 
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(白熱電球よりも85%少ない消費電力で、寿命も20年続くLED電球。イケアで提供している電球はすべてLED電球で、2017年には8,500万個を75万世帯に提供。2020年に向けて5億個の普及目標を掲げています)
 
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(原料の85%がさとうきび由来のバイオプラスチックを利用したプラスチックバックは、主婦にとても人気の商品。保存に使えるフードキーパーは、オーブンにも使え、蓋を取ればそのまま食卓にも並べられます。節水や時短にもつながる商品)

 
さらに、サステナブルな生活を支える商品「more sustainable life at home」シリーズをスタートし、2016年度には、全世界で2,000億円の売上を達成。このシリーズはイケア・ジャパンにおいても、売上の5割を占めているほどの人気商品となっています。

 
こういった商品の使用をすすめることで、顧客とともに生活のなかの消費電力を削減し、再生可能エネルギーの使用を促していくことにつなげていきたいとマティさん。

 

2.「Sustainable Energy(再生可能エネルギーの促進)」:使用木材の77%がリサイクルやFSC認証取得のもの

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(社会問題のメッセージを店内でも積極的に発信しています)

 
「Sustainable Energy(再生可能エネルギーの促進)」に関しては、「資源とエネルギーの自立に向けての活動」として、持続可能な資源調達に取り組んでいます。

 
イケアのすべての商品は、「品質」「機能性」「形」「低価格」「サステナビリティ」、このすべてを網羅した「デモクラティックデザイン」という哲学からつくられています。新商品を出す際には、「サステナブル・スコアカード」をもとに、ひとつ前の商品よりもサステナブルでないと新商品として出せないといった厳しい基準を設けています。

 
「イケアのロゴが常に責任ある調達をしている証になるよう、2020年までにすべての資源を持続可能な調達にできるよう取り組んでいく」という目標を掲げている、とマティさんは語ります。

 
イケアで使用されている木材は、全世界で使われている商業用木材の1%を占めており、社会的責任が大きいことから、使用する木材の77%をFSC認証取得のものやリサイクルされた木材から調達しています(2017年12月時点)。

 
昨今ニュースにもなりましたが、アメリカのアラバマ州にあるFSC認証取得を予定している森林を購入し、ここの木材を長期的に使用するということも発表しました。商品に多用されるコットンにおいても、全体の供給量の1%をイケアが占めていることから、すべての商品にベターコットンを使用しています(2015年時点)。

 
さらにフード部門では、サーモンをはじめとしたシーフードのすべてを、MSC認証を取得したものにするなどにも取り組みます。

 

ペットボトルも使用減へ! 廃棄物削減で循環型社会の実現へ

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近年、世界ではプラスチック容器などのゴミ問題が話題に上がっています。フランスでは、2016年にプラスチック製容器を禁止する法律が出ました。それに続いてインドでも、2017年に国家グリーン裁判所がプラスチック製容器やビニール袋を禁止する判決をくだしています。

 
日本においては、ペットボトルの廃棄問題が深刻になっています。年間1,000億本ある廃棄量のうち30%しかリサイクルされず、残りは川に流されたり埋め立てられてしまっている現状があるうえ、昨年末には日本の廃プラスチックの主な輸出先だった中国が輸入禁止を決定しました。

 
こういったことから、今後日本はペットボトルの使用量を減らし、いかにリサイクルをしていくかということに取り組んでいかなければなりません。イケア・ジャパンは、そういった問題にも積極的に取り組んでいます。

 
「2030年に向けて低炭素社会を目指し、廃棄物の削減やサーキュラーエコノミー(=循環型社会)も積極的に取り組んでいきます。世界では多くの方が貧困層からミドルクラスになっていますが、将来の顧客になる可能性が出てきたときに、消費する資源も増えていきます。そこにどういった問題が存在し、どう解決するかを、企業としてもビジネスを通してお客様に伝えていかなければなりません」

 
例えば、日本のペットボトルでできたホイルがついたリサイクルウッドの扉のキッチンもそのひとつ。また、木材の量や使用するパーツを減らすことで、効率的に組み立てられるダイニングテーブルなど、新商品には次々と新しい技術やイノベーションを取り入れることで、廃棄物を減らす努力がなされています。
 
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(左:木材の量を減らしたりパーツを減らすことで効率的に組み立てられる「LISABO(リサボ)」右:リサイクルペットボトルを使用したフェルトとリサイクルスチールが使われているペンダントランプ「VINTERGATA」)

 
さらに、顧客の声から生まれた日本独自のサービス「家具下取り還元サービス」が1年前からスタートしました。ライフステージが変わるなどして使えなくなった家具で、まだ十分に使える状態のものをイケアが買い取り、コワーカー(従業員)が査定して、アウトレットで販売する仕組みです。

 
始まった当初、年間2,500個の家具を買い取るゴールを設定していたところ、9ヶ月の時点で3,000個を買い取ることができ、そのうち82%を再販売できているそうです。

 

EVカー無料充電や太陽光パネル設置で、再生可能エネルギーの促進も

 
他にも日本独自の取り組みとして、来店する手段がよりサステナブルなものになるようにと、ストアの駐車場ではEVカーの無料充電ができるようになっています(東京ベイ店は2018年対応予定)。さらに「Timesカーシェアリング」との連携により、カーシェアリングサービスも昨年からスタートしました。
 

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(駐車場に設置してあるEVチャージャー。2017年には『EV100』のメンバーに加わりました。 ※引用元:EVsmart

 
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(ストアの屋上に敷き詰められた太陽光パネル。設置のための専任部署があり、プロジェクトを進めています。日本では、イケアの全ストアで設置済み)

 
そして、グループ全体で力を入れている再生可能エネルギーの促進においては、36億ユーロ(約4,800億円)を投資し、風力タービン(日本は太陽光のみ)を416基、太陽光パネルを75万枚、世界中の物流センターやストアに設置しています。

 
日本では、イケアの全ストアで設置済み。2016年には41%、2017年には65%の電力を再生可能エネルギーで賄うまでになりました。

 
後編へ続く イケアに学ぶ「SDGs」へのコミットメントと、持続可能な企業づくり(2)

 
<編集・WRITER>サムライト

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