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「再生羽毛」を使ったふとんは健康にも環境にも優しかった

2020.11.26
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標12:つくる責任 つかう責任
羽毛

▲国内できれいに洗浄、乾燥された再生羽毛。ふんわり、やわらか

「健康によい羽毛布団を、誰でも使えるようにしたい」――。羽毛布団は高価で手が出せないというイメージを変えようと、再生羽毛を使うことで価格を抑え、安定的に製造する仕組みに「日本羽毛製造」(本社・埼玉県入間市)が取り組んでいる。ゴミの量を減らすことで二酸化炭素の排出削減につながるのはもちろん、家庭で使いやすいように、丸洗いができるようにし、さらに寝返りを打ってもはだけにくい構造にした。羽毛の専門メーカーならではの高い技術と創意工夫で誕生したのが「洗える合わせ羽毛ふとん」。持続可能な社会を実現する第一歩は、ぐっすり眠れる布団からはじまるかも知れない。

「オールシーズン、もう手放せない」

布団イメージ
▲冬は2枚組みで暖か、春秋は厚手1枚、夏は冷えすぎ防止に1枚で

東京都杉並区の男性(65)が羽毛ふとんを使い始めたのは、ニューヨークで勤務していた約30年前。日ごろから体によい食事や適度な運動とともに、1日の三分の一を占める安眠・熟睡を健康の基本と考えてきたという。現在は福岡県の実家で一人暮らしをする90歳の母親の家事手伝いのため、毎月帰省する「デュアル・ライフ」を送っている。寝床についたらぐっすり朝まで寝られるタイプだが、どこでも常により快適に睡眠をしたい。しかし、羽毛布団はなかなか高価で手が出ないと悩んでいた時に、リサイクル羽毛を使った日本羽毛製造の製品とめぐり合ったという。実家は古い和風建築で、冬場の寒さは厳しく、昔ながらの重い綿ふとんしかなかった。今では、どちらの家でも同じ羽毛ふとんを使っている。

「清潔に処理されたリサイクル羽毛を使っているのでリーズナブル。寝相が悪くてもはだけにくく、とても機能的。寒がりの妻は、布団が暖かくなったうえ、軽くなって圧迫が少なくてよいと喜んでいます。昭和的生活スタイルから平成・令和時代の到来に満足しています」と話す。

「洗える合わせ羽毛ふとん」は、厚手と薄手の2枚仕立て。男性は「冬は2枚で保温性が高いのはもちろん、春秋は厚手1枚でちょうど良く、夏は通気性のある薄手1枚で汗もかきにくいようです。まさにオールシーズン使っています」という。

よみがえった羽毛で安定価格を実現

一般的に重い布団を使用していると、血管を圧迫し、心臓に負担がかかるため、健康によいとは言えない。特にお年寄りの場合は圧迫されないようにした方がよいという。それに対し、羽毛は空気を多く含むため、綿などと比べると、軽くて暖かい。吸湿性と放湿性にも優れ、汗を吸収して発散するので蒸れにくく、さわやかな状態が持続する。

古い羽毛
▲自治体などから集められた古い羽毛。1袋で15キロ程度ある

しかし、新しい羽毛は経済発展が続く中国で消費量が増えているうえ、食用肉の副産物としての側面もあるため、価格が極端に変動することがしばしば。国内で安定的に確保することは難しいという。

そこで日本羽毛製造が目を付けたのが「再生羽毛」だ。寝具店や自治体から使われなくなった羽毛布団を仕入れ、国内の専門施設で丁寧に洗浄したうえ、乾燥させてよみがえらせる。大手の衣料メーカーが自社のダウンを再生する取り組みを始めるなど、消費者の間で「無駄にしない」という意識が広がっており、古着への抵抗も少なくなっている。もともと羽毛は長持ちする素材。洗えば洗うほど、獣特有の臭いがなくなっていくほか、フワッときれいに仕上がる。

何より、環境にも優しい。再利用できる素材を廃棄するためにわざわざ運搬し、焼却することが減るため、二酸化炭素の排出削減にもつながり、持続可能な社会の実現にも結びつく。

再生羽毛を丁寧に封入していく
▲再生羽毛を丁寧に封入していく
▲ミシンを巧みに扱い、羽毛が偏らないように仕上げる

「子どもたちに恥ずかしくないものを売りたい」

社長の早野賢治さんは大学卒業後、東京都内で小学校の先生を経験し、その後、羽毛の世界に携わってきたという。「子どもたちに恥ずかしくないものを提供することが原点。昔ながらの重い布団を好む人もいますが、体には羽毛の方が断然よい。安かろう悪かろうではなく、しっかりした商品を適正な価格で流通させたい」と話す。

社長の早野賢治さん
▲社長の早野賢治さん
打ち合わせをする早野さん
▲事務所と作業場は同じ建物内。スタッフと打ち合わせをする早野さん

熟練の技術で年間通して快適な睡眠を

「洗える羽毛合わせふとん」は体を包み込む羽毛0.3キロ入りの薄い肌掛けと、3倍の0.9キロの羽毛を入れた上掛けの2枚合わせ。羽毛はホテルのふとんにも採用されているクラスの高い品質のもの。それを登山家が冬山でインナーとアウターのダウンを組み合わせるのと同じ原理を応用しているので、より保温性が高い。

そのうえ、生地は綿100%で柔らかくしなやかな肌触り。左右の隅に羽毛を厚めに入れているため、寝返りで姿勢が変わってもはだけにくく、冷気が入り込みにくいので、一晩中、温かさが保てる。 ベテランの従業員がずらりそろった日本羽毛製造の熟練の技術があるからこそ実現できる仕様だ。

ベテランの従業員がずらりそろった日本羽毛製造の熟練の技術があるからこそ実現できる仕様だ。

構造
▲寝返りを打っても冷気が入り込みにくい構造
熟練の技
▲ひとつひとつ熟練の技で縫い上げられていく

さらに家庭で丸洗いできるのも特長。冬は2枚合わせでヌクヌク、明け方の冷え込みが心配な春や秋には厚手の上掛けが1枚あれば大丈夫。夏にはエアコンによる冷えすぎ防止にも使え、汗をかいても、季節の変わり目にも、いつでも洗って清潔を保つこともできる。  

世界中で動物保護への関心が高まる中、環境にも優しいリサイクル羽毛。未来の子どもたちが安心して暮らせる世界を残すために、持続可能な社会の実現に向けて、エコな素材として注目が集まっている。

<WRITER>小幡淳一

■年間を通じて快適に過ごせるように工夫された「洗える合わせ羽毛ふとん」(シングル、セミダブル、ダブル)は朝日新聞SHOPで購入可能

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