2030SDGsで変える
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「どう自分なりに利用するか、それが入り口」 朝日新聞ポッドキャスト・神田大介チーフパーソナリティと考えるSDGs

2021.11.15
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標13:気候変動に具体的な対策を
編集部

11月1日から新番組「SDGs シンプルに話そう」がスタートした朝日新聞ポッドキャストですが、これまでに配信された番組も再配信されています。SDGsの視点で分類すると、どのような傾向がありましたか。

神田

SDGsは範囲が広いんですが、「ジェンダー」「不平等や差別」「生物多様性」「環境とエネルギー」「経済」「福祉と健康」の6つに分けてリストにしてみました。その中で、一番多かったのはジェンダーでした。印象に残ってる番組はありますか

編集部

藤えりか記者が映画と絡めてお話しされた番組、それからフェムテックの話題なども今の時代ならではですよね。忠鉢信一記者のトランスジェンダーの回も印象に残っています。

「自分に置き換えると見えてくる」

神田

忠鉢さんの回で言うと、トランスジェンダーをスポーツでどう扱うのかという議論があるわけですよね。とりわけ男性から女性へとなった時に、男性の体格で女性の中に入るのはいかがなものかという議論になりがちで、それを規制するような動きもあるようです。でも、そういう話じゃないんですよ、「自分がトランスジェンダーだったら」と考えることによって色々見えてくるというものがあるんです、という内容でした。

編集部

自分事にして考えるというのが、SDGsの基本にあって、それが多様性を認めるということにもつながっていきますよね。

ジェンダーの話は意識的に多くしているところはあります。制作チームの男女比に関してもそうです。ゲストに呼ぶ記者の方も社内の比率だと男性が多いわけで、男女に偏りがないようにはしたいと思っています。どうしてかと言うと、やはり自分と考えることが全然違うからなんですよね。なぜ今、ダイバーシティ(多様性)が重要視されるかと言うと、その方が生産性が高いということがあると思います。自分1人、あるいはホモソーシャルな中で考えても、いいアイデアは出てこないし、ブレイクスルーもないです。

編集部

多様な考えが共生する社会の方が、イノベーションが起きやすいでしょうからね。

神田

SDGsの大きなテーマに環境問題もあります。ジェンダーほどではないですが、ポッドキャストでも取り上げています。例えばベトナムで石炭火力発電所を日本が開発しているんですが、一方でベトナム政府は石炭を中心に進めているわけではなく、太陽光や再生可能エネルギーにシフトしつつあるというハノイの宋光祐の回がありました。北京の冨名腰隆記者によると、習近平さんは意外と言ってはなんですが、環境問題に関心があるそうです。半分くらいはそういう問題意識がもともとあって、半分は国策として、たとえば電気自動車の生産は自国の利益にかなうというところで、中国は環境問題にちゃんと取り組もうとしているということでした。

どうしてもエコの話はヨーロッパが牽引役という感じがあります。エコサイドという言葉があるように、悪意を持って環境を破壊する活動が、国際司法裁判所などで刑事罰に問われるという時代になりつつあるようなんですね。日本でも水俣病やイタイイタイ病など公害問題があって、何とか克服してきたという歴史があります。その意味で、日本は比較的早い段階で、環境問題について知見があるはずですが、現状はヨーロッパと比べてかなり温度差があるのは、どうしてなのかなと思うところはあります。

「環境問題、真正面から取り上げたい」

とはいえ、僕は前々から意識しているんですが、そういう問題にクリアカットな答えを出すのは、間違いだと思います。正解がなくてモヤモヤするのはみんな気持ちが悪いから、スパッとした答えを求めたがる。分からないものを分からないまま受け止めるような番組作りをしていきたいと思っています。

編集部

生物多様性について取り上げた番組も色々とありますよね。

神田

動物に関する取材を続けている太田匡彦記者らに話していただきましたが、最終的には全て人間のエゴなんですよね。動物に関することもそうですし、環境問題というのも人間のエゴから離れたものではない。そうではあるんですが、それを前提とした上で色々なことを捉え直すことが大事だと思います。

そもそもSDGsの話というのはみんなそうなんですよね。例えば、ジェンダーに関して、日本においては僕は支配的な立場の層にいたわけです。でも、そこにトランスジェンダーの視点を持ってくることによって、見えるものが全然違ってくる。そういう世界がクルッと回転する感覚みたいなところを、どう伝えていけばいいかなと考えています。

ただ、生物多様性のような話は、内容が複雑で新聞の短い行数で伝えるのは難しい面があります。だからこそ、時間を使って説明できるポッドキャストは、複雑なものを複雑なまま伝えることができると思っています。

編集部

ちょっと自分には遠い世界だなと思っていたことが、ポッドキャストを聞いたことで、身近に感じられるということはありますよね。

神田

SDGsに限らず、社会問題のポイント、それはまた報道のポイントでもあるんですが、どう自分事にするかということだと思います。僕は何度も言ってきていますが、SDGsを自分なりに利用するというのが、その入り口になると思っています。

編集部

それは同感です。やはり視点を変えるというところにヒントがあって、自分のこれまでの考えや行動をSDGs視点で改めて振り返ってみると、新しい気づきがあって、その結果、新たな行動につながるという広がりを感じますよね。

神田

僕はSDGsは武器にも盾にもなり得るものだと思うんです。基本的にこれまで規範というのは、国や自治体、組織など上から降ってくるものでした。僕はこのポッドキャストを通じて、世界が平和になるといいなと思っているんですが、上からの価値観にみんなが従うというのでは全然幸せになれないわけですよ。そうではなくて、自分の価値観を上に突き上げて、そこで整合性みたいなものを探っていくことで、落としどころを見つけるというやり方ですね。

トランスジェンダーは自分に全然関係ないと思っている人はいっぱいいると思いますが、それこそ忠鉢記者の回を聞いてもらうと、そうでもないなということが分かるのではないかなと考えています。

編集部

そういう気づきがあるのは、純粋に楽しいことでもありますからね。

ポッドキャストも新聞記者が取材していることを、再編集してコンテンツ化する発想で作っていたら、自然とそのうちの6分の1ほどがSDGsになってるということですから、それだけ接点は多いということでしょうね。番組を通じて、また新たな気づきが生まれてくれるといいなと思います。

【関連記事】「モヤモヤを変えられる物差し」 朝日新聞ポッドキャスト・神田大介チーフパーソナリティと考えるSDGs

※インタビューを収録したポッドキャスト番組はこちらから、お聞きください。

speaker:神田 大介

朝日新聞ポッドキャスト・チーフパーソナリティ

1975年生、2000年入社、2020年から現職。これといった専門分野は何もないんですが、「イスラム国」(IS)、暴力団、ハッカーなど、わりとエッジの立った人たちを取材対象としてきました。性悪説の楽観主義者です。

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