「女性の働き方」の問題は、女性だけでなく実は男性の問題。
2015年1月15日に朝日新聞メディアラボ・渋谷オフィスで「オープン・カフェβ Vol.2」が開催された。今回のテーマは「働き方」。ゲストは三井物産ロジスティクス・パートナーズ社長で、NPOや地域活動を通じて「イクメン」・「イクボス」を提唱する川島高之氏。
まず、産休・出産・復職を経て現在は2歳の長女を育てながら働く朝日新聞社経済部の岡林佐和記者が、実体験や取材から感じた違和感や、そこから沸き上がる「怒り」(!?)のような感情まで吐露しながら、そのソリューションのひとつとして川島氏が提唱する「イクメン」・「イクボス」の可能性に言及。女性の労働環境の問題は女性だけの問題でなく男性の問題でもあるという点を強調し、「イクメン」・「イクボス」のユニークな男性へのアプローチにこれからの働き方のヒントが隠されているのでは? という視点を提示した。
イクメンは仕事とのトレードオフじゃない。“Life”・“Work”・“Social”の「三方良し」を。
川島氏は、積極的に育児をする「イクメン」は「今しかない期間限定の特権」で、「例えば“2歳”も、“5歳”も“10歳”もそのときだけ。先送りできません。その時期に仕事だけなんてもったいない」と強調。そして、イクメンになれば自ずと家事も積極的に行う「カジメン」、地域活動に参加する「イキメン」、さらには仕事と家事で疲弊している女性の部下に配慮できる上司=「イクボス」につながると語る。その中で特に印象的だったのは「イクメン・カジメン・イキメンは決して仕事とのトレードオフではない」という点だ。
とかく「仕事を犠牲にしないと成り立たない」と思いがちだが、仕事と育児・家事・地域活動等をこなせる能力は仕事にも還元されるというのだ。曰く、「視野・人脈が広がり、コミュニケーション力・組織運営力・育成力が高まり、長期目線・効率性が養われ、ポジティブ志向・余裕といったマインドが生まれる。すべて仕事で求められる資質です」と。
つまり、子育てや家事=“Life”や地域活動=“Social”は仕事=“Work”と相反するものではなく、それぞれが好循環を生み出す「三方良し」は実現可能で、そうすることで人生がより豊かになるというのだ。
多種多様な参加者が質疑応答と懇親会で親交を深め、ともに考える。
質疑応答は、近くの人と一緒に質問を考える形式。全員の参加とコミュニケーションを促したことでさまざまな質問が飛び出し、その中から共通点が多い質問を選ぶことでより共有しやすい話題を中心に進められ、その後の懇親会でもすっかり打ち解けた雰囲気の中で川島氏や岡林記者と和気あいあいとコミュニケーションを深めていた。
イベント全体の半分以上の時間が質疑応答と懇親会に充てられていたのも、オープンな交流の場というコンセプトならではで、一般的な講演会やトークショーとはかなり違う印象だ。
参加者は、まさにイクメン世代の男性やイクボスとなるべき年齢・立場の男性、もうすぐワーキング・マザーになるという女性といったテーマにピッタリ合った参加者から、「何か面白そうなイベントがないか?」と探して参加したという女性や「朝日新聞の未来メディア塾という取り組み自体に興味があった」という男性まで、地域・職種・性別・年齢等を超えて多種多様で、日常とは少し違う新たな交流からたくさんの刺激を受けた様子だった。