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SDGs未来都市「横浜」の2030年を考える。【未来メディアキャンプvol.5】1日目レポート

更新日 2022.02.03

2018年10月14日、横浜市で「未来メディアキャンプ 2018」(朝日新聞社、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科共催、運営協力・Think the Earth、メディア協力・ヨコハマ経済新聞)1日目を開催しました。
 
未来メディアキャンプは、参加者がさまざまな社会課題について考え、解決するためのアイデアを創出し、新たな行動につなげることを目指したワークショップ型イベントです。昨年に続き舞台となった横浜市は、国が2018年、「SDGs未来都市」として選定した29の自治体のひとつ。5回目を迎えた今回のキャンプでは、この横浜の地で社会課題に対してすでにアクションを起こしている5つの団体による計6チームが結成され、横浜の未来について考える議論を交わしました。その初日の模様をレポートします。
 

【ワークショップに参加した団体・プロジェクト】
山北プロジェクト
コトラボ
SDGs×教育プロジェクト
Code for YOKOHAMA(A/B)
パパカンパニー

“0→1”を“1→10” に。それぞれの活動を一歩、さらに前へ進める

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イベントの冒頭、主催する朝日新聞社マーケティング本部マーケティング部の田中志織部長が、「これまでは、“0から1をつくる”ことを意識してやってまいりましたが、今年のキャンプは、試行錯誤しながら“1を10にする”ことを目標に企画しました。」と今年のキャンプの主旨について説明しました。
 
昨年までの未来メディアキャンプでは、たとえば「働き方」や「子育て」など、ワークショップで議論するテーマを事前にいくつか提示し、それらの課題解決について考えてみたい、という希望者を全国から募っていました。社会課題を「自分ごと化」して考えらえるメンバーからの意見は熱量が高く、実践的なアイデアも多かったのですが、今年はさらに、アイデアを実践もしくは計画している既存のグループをもとにチームを構成し、より実効性や実現性を高めてもらうプログラムにしました。
 
つまり、すでにアイデアがあり、このキャンプでほかの団体と情報を共有し、議論したり意見交換したりすることで、さらにアイデアを磨き上げていきます。その過程では、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶應SDM)によるシステム思考・デザイン思考の考え方や、活用のためのハンズオン(体験学習)コーチング、また、学校向けSDGsの入門書をつくったThink the Earthからの教示、さらには朝日新聞社からもメディア媒体の活用方法などが伝えられます。
 
こうして、既存のアイデアをブラッシュアップさせることで、これまでにない関係性の発見や、新たな知恵や気づきにあふれる機会が得られ、最終的には具体的成果を目指す。今回のキャンプは、そうした最終的なゴールに向かうプログラムを目指しています。
 
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未来メディアキャンプのファシリテーターを務める、慶應SDMの神武直彦教授は、今年の未来メディアキャンプについて、次のように説明しました。
 
「今回は、すでに取り組んでいる事業や各プロジェクトを広げたり、伸ばしたり、よりよくしていくためにどうすればよいかを、みなさんと一緒にいろいろと議論していきたいと思います。その中で意識していただきたいのは、みなさんは全員が横浜という共通点があり、そうした横のつながりを大切にしてほしいということ。私たちの大学でも、この“つながり”を重要なテーマにしています。個人や個々の企業は優れているのに、それをつなげて大きなサービスやシステムにしようとすると、なかなかうまくいかないことが多い。そうした課題を解決し、より大きな成果を生み出していくにはどうすればいいのか、といったテーマを日々研究しています。今回は、各チームに研究室のメンバーも入って一緒に議論に参加させていただきながら、その手助けができればと思っています」。
 
今回の参加者はふだん、それぞれに異なる活動に取り組んでいます。キャンプでお互いを尊重しながら、そうした多様性を楽しみ、それぞれの活動を一歩さらに前へ進めるべく、プログラムはスタートしました。

キャンプ1日目でまず17のプロセスに挑戦

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未来メディアキャンプは、大きく3つのフェーズで構成されています。
 

10/14【1日目】既存アイディアの理解と、新たなソリューションの創出

 
5つの団体・プロジェクトの主要メンバーを中心にそれぞれ6チームに分かれ、現状の事業やプロジェクトの理解を深め、課題や新たな可能性を抽出していく議論をワークショップ形式で行います。その中で新たな価値、アイデアを創造すること。そしてその新しいアイデアを実際の現場で展開していくために、具体的なアクションプランまで落とし込んでいきます。
 

10/15〜11/10【フィールドワーク期間】分析やアイデアの正しさの確認と、俯瞰的かつ詳細な理解

 
その後、約1カ月間、キャンプ1日目で具体化させたプランをフィールドワークで実験や検証を積み重ねていきます。今回のキャンプの最終ゴールはアイデアで終わるのではなく、実用化にこだわること。このフィールドワークから、さまざまなデータを収集していきます。
 

11/11【2日目】ソリューション実用化のための対話と計画作成

 
それぞれにフィールドワークを積み重ねた後、ふたたび6チームが集結。チームごとに進めたフィールドワークで得たデータや分析結果を共有し、チームで考えたソリューションを改善、拡張プランを考えていきます。そうしてブラッシュアップされたソリューションをそれぞれの事業やプロジェクトに実装していく計画をたて、キャンプは終了です。
 
1日目は内容が盛りだくさんで、実施されたプロセスは17にもおよびました。
 
1. キャンプ概要を知る
2. 横浜での取り組みを理解する
3. チームを創る(チーム内のメンバー同士をよく知り合う)
4. SDGsとの関連を理解する(講師:Think the Earth 上田壮一氏)
5. 2030年の横浜と自分を想像する
6. 数年後の未来を想像して問いを設定する
7. 設定した問いを問い直す
8. 問いに応えるアイデアを創造する
9. アイデアを分類してスコープを決める
10. アイデアに関係する人を描き出す
11. 顧客価値連鎖の仕組みを創造する
12. アイデア実現時のシナリオを創る
13. インスピレーションを得る(講師:横浜市政策局共創推進課 関口昌幸氏「横浜市の現状と未来」)
14. インスピレーションを得る(講師:朝日新聞 コンテンツ戦略ディレクター 藤谷健氏「メディアと取材の活用」)
15. 活動計画を立てる
16. 成果を共有して・応援しあう
17. キャンプ最終日に向けて旅立つ
 
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最初のディスカッションパート(「5. 2030年の横浜と自分を想像する」)では、SDGsのゴールの年でもある2030年に、横浜と自分たちや事業・プロジェクトはどうなっているか、想像することから始まりました。ここでは、互いにアイデアを自由に出し合うブレーンストーミング方式を採用。実現したい未来、また理想とする未来を考えることが、それぞれの事業やプロジェクトの現在地を確認することにもつながります。
 
ここで意見を出し合った2030年までに実現したい未来の横浜が、今回のキャンプにおける各チームの軸になります。
 
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次のディスカッションでは、そもそも何のために実現させたいのか、目的を明確にし、さらに今度はその目的を果たすためには、どうやって実現できるのかを考えていきます。なんの目的で、どうやって達成するのかという問いを繰り返していくことで目的と解決方法を可視化し、より本質的な問いと解を導き出していくのです。
 
そうしてさまざまな手法を用いてたどり着いた、各プロジェクトの新しいアクションプランが、1日目の最後にチームごとに発表されました(以下)。

2030年に向けて目指すべきこと

【山北プロジェクト】チーム 横浜における都市と森の循環経済を目指す

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東京、大阪に次ぐ大都市、横浜とは対照的に、土地の90%が森林という山北。この山北を流れる酒匂川が実は横浜市民の水源になっていることは、あまり知られていません。さらにここ数年、その豊かな水源を守る森が崩壊し始めているといいます。間伐作業が効果的に行われず、森が健康な状態を維持できなくなっているそうです。
 
このままでは、横浜市は水源のひとつを失ってしまう。そうした危機感を持った森川正信さんは、オフィスに山北の間伐材を積極的に活用することで、自分たちの水源を守ろうと考えます。それが山北プロジェクトです。需要があれば、山北の森林には適切な間伐が行われるようになり、森は健やかに成長することできる。その結果、水源も守られるというわけです。
 
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「今回、私たちが取り組んだテーマは、横浜における都市と森の循環経済を目指すこと。そのために『自分ごと化』というキーワードを追求することにしました。自分と山北のつながりを、ひとりでも多くの横浜市民に知って感じてもらうこと。それが山北の資源を使うアクションにつながっていくと考えました。
 
そこで具体的なプランとして出てきたのが、“何もないキャンプ場”をつくろうというアイデアです。
 
山北の魅力は、見渡す限りの自然。この資源を最大限に生かすには、施設が充実したキャンプ場ではなく、その場にある木や水源を全面に押し出したキャンプ場です。たとえば、キャンプには欠かせない薪は、お店で販売していますが、山北ならば薪そのものをつくることから始められる。そうして自分の手でつくったものには愛着がわいてくるはずです。
 
すべてが用意されるのではなく、自分がつくる側になる。その体験はとても貴重だし、また来たくなるような思い出にもなる。そうして山北とのつながりを深め、さらに山北がかかえる問題を自分ごと化してもらえるような発想の転換につなげていければと思っています」(山北プロジェクト 森川正信さん)
 
森林や水源を守ることは、SDGsの取り組みにも深く関わること。2030年を見据えたとき、山北プロジェクトのような活動は欠かせない事業となってきます。2日目のワークショップまでに、山北プロジェクトでは、実際に“何もないキャンプ場”を体験するフィールドワークを行うことも発表されました。
 

【コトラボ】チーム 外国人観光客を横浜関内に呼び込む仕掛けを

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日本三大ドヤ(簡易宿泊所)街のひとつと言われている横浜寿町は、周辺に山下公園や元町、中華街など観光地に囲まれているにもかかわらず、町内のドヤの約20%が空室という状態が続いていました。この問題を解決するには、まずは“危険な街”というマイナスイメージを刷新し、新しいヒトの流れをつくる必要がある。そう考えた岡部智彦さんは、ドヤの一部をおもに外国人観光客を対象としたツーリストホステルやゲストハウスとして活用するプロジェクト「コトラボ」をスタート。“危険な場所”から“横浜でもっともリーズナブルな宿泊施設”というイメージを、海外に発信してきました。
 
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「周辺はにぎわっているのに、寿町だけ衰退の一途をたどっている。この状態を打破するにはどうすればいいのか。最初のワーキングでは、お客さまとコミュニケーションを活性化する方向で考えていましたが、ワーキングの問いの問いを繰り返していくうちに、寿町そのものにヒトとヒトや、ヒトとモノ、コトをつなげていくハブ的な機能をホステルにもたせたほうが、住み続けられて持続性の高いまちづくりができるのではないかと少し方向を転換しました」(コトラボ 村山大輔さん)
 
寿町にいけば、リーズナブルに宿泊できる。寿町にいけばディープな体験や、何かに出会えるワクワク感がある。そうした楽しそうな印象を与えられるようなまちづくりを目指すとのことで新しい寿町を表現していくプランが発表されました。
 

【SDGs×教育】チーム 持続可能な社会の担い手を育むには?

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前回2017年の未来メディアキャンプで会場を提供した株式会社富士通エフサス みなとみらいInnovation & Future Centerの岸本伴恵さんは、横浜市内のさまざまな場づくりについて話すメンバーを集めてチームを編成し、今年はメンバーとしてキャンプに参加しました。
 
取り組んだテーマは、「SDGs×教育」。持続可能な社会を目指すには、教育の現場から変えていく必要がある。では、どうすれば学校や地域住民が主体的にSDGsに取り組んでもらえるか。チーム内で活発な議論が交わされました。
 
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「横浜で子育てをしたい。横浜で起業したい。そうした人をひとりでも増やしていくために、横浜を持続可能な魅力的な都市にしなければなりません。そのためには、横浜はどうなっているべきなのか。私たちのチームでは、SDGs未来都市に選定されている29の都市のなかでNo1の地位を獲得していることが最初のステップになると考えました。
 
SDGsの17のすべての目標を達成することはけっしてやさしいことではありません。世界的に見ても、(先進地の)スウェーデンでさえ17の目標は達成できていない状況です。それでも、2030年には横浜はすべての目標をクリアし、SDGsの取り組みが活性化している都市になっている。それが、私たちが望む、横浜の未来の姿です。
 
この大きな目標を達成するためには、若い世代がSDGsに取り組み、SDGsが身近にある環境が必要になってきます。SDGsが生活の一部になっているような世界観です。つまり、学校教育の中に、SDGsが組み込まれた指導が横浜のすべての学校でおこなわれる環境を築くことが大切だと考えました」(岸本伴恵さん)
 
SDGs×教育チームには、現役の先生も参加し、現実的な課題も踏まえつつ、学校教育にSDGsの取り組みを根付かせていくための具体的な施策が議論されました。小学校の先生を務める池田孝さんは、「小学校で九九を学ぶように、社会問題も当たり前のように学ぶ教育の現場を目指したい」と、意気込みを語りました。
 

【Code for YOKOHAMA】(Aチーム/Bチーム)まだ可視化されていない横浜の防災データをつくる

 
市民がCivic Tech(シビックテック)と呼ばれるテクノロジーを駆使して、公共サービスなどの地域課題解決を行うことを目指すCode for YOKOHAMAプロジェクトは、2チーム(A/B)を編成して参加しました。Civic Techとは、市民主導で公共分野にイノベーションを起こす活動で、今回は、まだ可視化されていない横浜の防災データをつくることを目指したテーマに取り組みました。
 
その中でAチームは、「緊急時の情報伝達の改善」について議論しました。
 
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「災害時に家族が一緒にいられないことがあります。こうした状況をITやコミュニティで助けられる仕組みをつくることで、少しでも不安を取り除くことができる。そのためには、災害時にスムーズな共助関係を作るためにはどうしたらよいか、ということをテーマに話し合いました。
 
具体的なソリューションのアイディアとしては、何時何分だったら助けにいけるよ、看護師の資格を持っているので、こういうことを助けられるよといったスキルマップをつくること。街の中で、あるいは身近に助けられる人のリソースがどのくらいあるのかを知っていることが、安心感につながります。自分たちの街にどんな人がいて、どうすればつながるということがわかっていれば、いざというときに孤立感を覚えないで済む。そんなソリューションにしていきたいと思っています。
 
特に災害時に家族と会えなかった人やひとり暮らしの方は、災害後にも心的ストレスで二次被害を受ける確率が高いことがこれまでの検証でわかっています。このことからも人がつながっているという安心感を見える化することが重要だと思っています。それが住み続けたくなる街、横浜につながるようなプラットフォームになるといいね、という話し合いをしました」(村上源さん)
 
一方、Bチームは「ハザードマップの改善」をテーマに議論を行い、具体的なアクションプランを考えました。
 
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「2030年に実現したい未来を考えたとき、目指すべき目標として災害時の死亡人数をゼロにすることをかかげました。この究極的な目標を達成するために考えたのが、災害時のすき間情報をつなげるというコンセプトでした。災害時に必要不可欠な存在となるのが、救急隊や消防隊の存在です。しかし、プロでも交通事情で救急車の到着が遅れたり、なかなか動けないこともあったりして、救助が間に合わずに命を失ってしまうケースは十分に考えられます。一方で災害の現場には、プロではないけれど、一般市民の中に助けられる人がいます。僕らの中でもひとつイノベーティブなプログラムのスペースとして発見したのは、災害の現場においてはこのプロとアマチュアの間をつなぐすき間があるのではないかということでした。自力で助け合えそうな人は災害の現場にはかならずいるわけで、このすき間を埋めることで、災害時死亡ゼロを目指す情報伝達の改善はできないかを追求しました」(西野貴志さん)
 
議論を経て出てきた具体的なアイディアが、災害時のライフセーブや、施設避難機能、施設避難所などを一覧できる防災データの構築。救急の資格を持っていなくても緊急避難的に救助を行うことができるソリューションです。たとえば、地元にオフィスや住居があって、ある程度余裕がある人がその場所を貸し与えて要救助者を避難させるといった仕組みまで、かなり現実を想定したアクションプランの数々が発表されました。
 
ここ数年、全国各地で大きな災害が連続的に発生していることもあり、防災はすべての人にとって関心度の高いテーマです。実際に、Aチームの発表を担当した村上源さんは、東日本大震災で家族が被災。津波で家が流されてしまったそうです。そうした実体験も踏まえながらチームで導き出したプランはどれも実現性が高く、周囲からも高い評価を集めていました。
 

【パパカンパニー】チーム 親子目線×まちづくりで新しいメディア構築

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横浜市内の保育園で知り合ったふたりのパパ友が立ち上げた株式会社パパカンパニーは、市内の子育て世代を対象にしたお出かけ情報サイト「あそびい横浜」を2015年6月にローンチ。以降、「あそびい横浜」をハブにしてパパ・ママのネットワークを構築してきました。立ち上げたきっかけは、1駅隣の街にはどんな店や施設があるのかをほとんど知らなかったこと。横浜に住みながら横浜のことをあまりにも知らなかったのです。少し足を伸ばせば、親子にとって多くの遊び場があることに気づいたことから、「あそびい横浜」を立ち上げたそう。
 
そんなパパカンパニーが今回のワークショップで取り組んだテーマは「親子目線×まちづくりで新しいメディア構築」でした。
 
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「大きなテーマとして掲げたのが、持続可能なまちづくり。そのためには実用性はもちろん、事業化して黒字化できる仕組みが必要だと考えました。横浜に住んでいるのに知らない場所やお店、コトがたくさんある。そうして市内を行き来するヒトの動きを作り出せばそれが地域の活性化につながり、地域経済にも貢献できるのではないかと考えました。
 
今回の議論を重ねていく中で、あらためて気づいたことが、横浜市には親子が楽しめる数多くの資源があること。さらにアイディアとして実現していきたいのが、公園やお店を紹介するだけでなく、ヒトやコト、モノなど、個々のスキルや地域の特徴をつなげていって、たとえば子どもたちが何かを学べる場をつくったり、親子で参加して楽しめる体験プログラムなども企画して提供していきたい。そうして親子がまちづくりに参画できる仕組みを確立できれば、横浜は親子にとってもっと住みやすいまちになるでしょう」(パパカンパニー 高瀬康道さん)
 
パパカンパニーが考えたプロジェクトは、山北プロジェクトとの親和性も高く、連携した体験プロジェクトを開催する計画なども発表。0から1ではなく、1を10にすること。まさに今回の未来メディアキャンプが目指したプランを導き出せたようです。

点と点がつながり、より大きなプロジェクトへと発展していく

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今回のキャンプでは、横浜市政策局共創推進室の関口昌幸さんから、横浜市の現状についての説明もありました。
 
「現在、横浜市では『横浜市中期4か年計画2018~2021』の素案が議会で審議されています。内容は、人口減少・少子高齢化が加速している現在の社会状況をふまえ、横浜が住民にとってより安全で住みやすいまちとなるように、これからの4年間で推進すべき政策がまとめられています。
 
この中に、計画を策定・推進する基本姿勢として、以下の3点が明記されています。
 
●SDGs(持続可能な開発目標)の視点を踏まえた取組
●データ活用・オープンイノベーションの推進
●地域コミュニティの視点に立った課題解決
 
政策にSDGsのワードが入ることは5年前では考えられなかったこと。時代の変化に合わせて市井も変わってきている。つまり、市のほうでも地域の企業と協働してSDGsに取り組む仕組みづくりを推進していますので、みなさんからも積極的にいろいろな提案をしてください。公民が一体となって、より魅力的な横浜にしていければと思っています」
 
互いの存在や活動は知っていたけれど、具体的に話をしたのは初めて、とか、初めてお会いしました、という出会いが多かった未来メディアキャンプの1日目はこうして終わりました。「この出会いから、おもしろいアクションが生まれることを期待したい」と、ファシリテーターを務めた神武教授。
 
発表を終えて参加メンバーが実感したのは、それぞれの活動が互いに親和性があること。例えば、パパカンパニーが構築したパパ・ママのネットワークは、Code for YOKOHAMAが推進するハザードマップの改善につながり、山北プロジェクトは、パパカンパニーのプロジェクトと組むことで、互いにより有意義な活動に発展させることが考えられます。
 
各チームは、今回発表したアクションプランを11月11日に開催するワークショップ2日目までにフィールドワークを行い、さまざまな実験・検証を行います。およそ1ヶ月で、それぞれのプログラムはどのような進化を遂げているのか。また、どのような連携がなされ、どのような「化学反応」が生まれるか。その結果は2日目のレポートにて報告します。
 
<取材・編集>サムライト <撮影>千葉裕子

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