第2回「未来メディアキャンプ」開催を記念し、モデレーターを務める慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦准教授と、前回に引き続きアドバイザーとして参加するクリエイティブ・エージェンシーのロフトワーク代表取締役の林千晶さんが対談。前回の「未来メディアキャンプ」の感想やこれからのメディアの役割などについて幅広く語り合いました。
参加者の生き生きとした様子が印象的だった
神武 前回の「未来メディアキャンプ」ではアドバイザーとして、参加者がチーム毎に考えたアイデアを発表するプレゼンテーションの審査をしていただきました。どんなご感想を持たれましたか?
林 とにかく参加者のみなさんが生き生きしていると感じました。事前に行われた議論やフィールドワークなど、それぞれのアイデアを練り上げていくプロセスにも関わりたかったなぁとちょっと残念に思うくらい、みなさん楽しそうでとてもいい雰囲気でした。
神武 それはうれしい感想ですね。実はモデレーターである僕自身、参加した方々からたくさん元気をもらいました。職業も年齢も違う人たちが朝日新聞の記者の方と一緒に、さまざまな社会課題を解決するにはどうしたらよいかを考えるワークショップだったわけですが、集まってすぐに意気投合していたチームが多かったように思います。やはり、日頃から関心を持っている社会課題について考えたい、システム思考・デザイン思考について学びたい、など自分の意志でキャンプに参加された方々だったからではないでしょうか。
社会課題を解決するためのサポート役として
林 あと、どのチームでも記者の方たちがとても喜んでいるように見えたのが印象的でした。私も通信社の記者をしていた経験があるのですが、第三者に何かを伝えようとするとき、その物事のどこに焦点を当てて記事にするかという編集作業が必要になります。記者はいわば、物事の情報を編集する仕事なんですよね。
神武 なるほど、確かにそうですね。
林 記者はある課題について、それを解決したいという思いから「ここにこんな課題があります」と記事にします。でも、ジャーナリズムには事実を公正に伝えるためにニュートラルな立場でいなければならない、という制約があると思います。
神武 記者の方たちはいつもそのジレンマを感じながら記事を書いていると?
林 はい。ところがこの「未来メディアキャンプ」は、社会課題を“解決するため”の具体的なアイデアを考えるのが目的のワークショップです。記者の方が情報やものの見方を伝えると、チームのメンバーがそれについて意見を出し合い、具体的な解決策を生み出すワークを行います。その流れを目の当たりにできたことが記者の方たちはうれしかったのではないでしょうか。
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