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ブラジャーどう捨てる? 抵抗感じる女性に回収サービス 不要品は代替燃料、生活雑貨に

更新日 2022.06.16
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目標12:つくる責任 つかう責任

恥ずかしながら、告白します。男性筆者のわたしは、女性の悩みに全く気づいていませんでした。そのひとつが、《使い終えたブラジャーは捨てにくい》ということです。他人に見られないように処分するにはどうすべきか。分別処理する際も、金具のホックやワイヤをハサミで切るのが難しい……。ゴミをあさる不届き者もいるので、悩みは深く、人それぞれ違うようです。そうした女性のために、アパレルメーカーが廃棄ブラジャーの回収を本格化させています。

東京・ルミネ新宿1の4階にある下着専門店「Chut!INTIMATES(シュット インティメイツ)」を訪れたのは6月初旬でした。運営会社(インティメイツ)が、オンワードホールディングスのグループ企業として2015年から、使われなくなったブラジャーの回収を進めていると聞いたからです。

回収されたブラジャー。開封しないまま段ボールに入れて、リサイクル業者に引き渡す=東京都新宿区

開封せずにリサイクル業者へ 心理的抵抗に配慮


店長の泉綾乃さんが倉庫から持ってきた段ボールは、ポリ袋や紙袋に包まれた廃棄ブラジャーでいっぱいでした。持ち込みは1カ月に40件程度。廃棄ブラジャーを持ち込んだ上で、新しい商品を購入すると500円割引になるキャンペーンを実施した5月には143件を引き取ったそうです。開封せずリサイクル加工業者に引き渡しています。
「30~40代のお客様が多く、お一人で平均3枚程度が持ち込まれます。家庭ごみとして捨てるのに心理的な抵抗のある方が利用しているようです」

店頭には不要になったブラジャーを回収する袋も=東京都新宿区

会員限定の「シュット!ブラリサイクル」という仕組みで他社製品も回収対象にしています。集めたブラジャーは、産業廃棄物からつくられる固形燃料に加工され、石炭の代替燃料になります。製紙会社で使われ、地球温暖化につながる二酸化炭素(CO₂)の排出量は石炭より3割減ります。インティメイツは2021年度、835㌔グラム(8350枚程度)の使用済みブラジャーを回収しました。開始から7年間で合計約5.2㌧(5万2千枚程度)になります。

「生ゴミと一緒に」「旅行で」 廃棄方法は様々


筆者が周囲の女性に聞いたところ、ブラジャーの廃棄方法は様々でした。「あえて生ゴミと一緒に捨て、あさられないようにする」「愛着がわくので簡単に捨てられない。海外旅行に出かけた際に袋に包んで捨ててきた」「特に考えずに、袋に包んで捨てる」。「母親はブラジャーの金具をハサミで切り外して分別処理していたが、手間がかかるので私にはとてもできない」という声も聞きました。
インティメイツが20~50代の女性(456人)にアンケートした結果を紹介します。「ブラジャーを捨てるとき、どうしていますか」という問いには、「ブラジャーと分からない状態にして捨てる」と答えた人が最も多く、65%いました。新聞紙や紙袋などに包んで捨てるようです。次いで「そのまま他のごみと一緒に捨てる」が19%。「切り刻んで分解し、分別して捨てる」が10%、「メーカーのリサイクル回収に持ち込む」は4%にとどまりました。「旅先で捨てる」と答えた人も1%いました。どんなことがあっても近隣の人に気づかれたくない――。そうした女性心理がうかがえます。

約6割が廃棄に抵抗感 環境配慮型のブラも

「ブラジャーを捨てるのに抵抗感はありますか」という問いには、「抵抗がある」「どちらかというと抵抗がある」と答えた人が、合わせて58%に達しました。この企画を担当するインティメイツ販売促進課の村中栄美さんは「捨てにくいという悩みを解決するためにプログラムを立ち上げました。環境に優しい代替燃料として利用されるエコな側面もあり、利用者は増えています」。最近は、もみ殻を使った環境に優しい下着や、無駄をそぎ落として重さ約30㌘の軽やかなつけ心地のブラジャーなども人気を集めているそうです。

環境に配慮し、もみ殻でつくったインティメイツのブラジャー=東京都新宿区

ワコール、300万枚を回収 生活雑貨に再生

2008年からCSR活動の一環で回収しているのが、大手下着メーカーのワコールです。グループ各社約750店の店頭で、例年10月から翌年3月末まで自社・他社製品を問わず不要になったブラジャーを回収しています。集めたブラジャーは累計295万枚に達します。昨年度は25.7㌧(25.7万枚相当)を回収しました。提携しているリサイクルの専門企業によって、生活雑貨のパーツに生まれ変わります。

金具の使用 廃棄を悩ませる一因に 

消費者がブラジャーを捨てることの難しさについて、担当者は心理的な要因に加え、ブラジャーには生地の他にワイヤやホックなどの金具が使われていることが関係しているとみています。大切な話も聞きました。「ブラジャーは洗濯表示を確認の上、手洗いされることをおすすめします。そうすることで、お気に入りのブラジャーを長くご愛用頂けます」

使い終えたブラジャーを回収に出すこともさることながら、気に入った製品を少しでも長持ちさせる。そうしたことも環境を意識した行動と言えそうですね。

writer:橋田正城

朝日新聞マーケティング戦略本部

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