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エシカルに正義のヒーローは必要ない 環境に配慮した住空間で7日間暮らしてみた記録1

2021.06.18
Photo by Misii / NOSE art garage  ※資源循環センターの写真を除く
目標12:つくる責任 つかう責任

6月12日〜18日でおこなわれている、自分も地球も豊かになる「エシカル・ライフハック」をデザインするプロジェクト「エシカル暮らすメイト」から、リアルタイム実況リポートをお届け。このプロジェクトは、3組の次世代クリエーティブユニットが、環境に配慮した積水ハウスの住空間に7日間滞在し、それぞれの得意分野を生かしてエシカルな暮らしを実践するという。

学生の頃から環境問題や国際問題について学んできたミレニアル世代の私は、「エシカル」や「サステナブル」というテーマと向き合ってきた方だと思う。けれど、日々の生活がすべて「エシカル」か、と聞かれると素直にうなずけない自分がいる。 そんな私が、このプロジェクトに参加して感じたことの備忘録を、2回にわたってつづっていきます。

頭の中に、正義のヒーローと悪魔が同居している

たとえば、飲み終わったペットボトルのラベルを剝がすのが面倒だなと思う瞬間。「剝がすべきだよね」という声と、「どうせみんな剝がしてないしいっか」という声がぶつかり合う。モヤっとしては、そのモヤを忙しさで振り払っている。

「エシカル」という言葉を知ったのは、大学生のとき。その概念に衝撃を受けて以来、エシカルファッションの商品開発をしたり、サステナビリティをテーマに取材をしたり、いろんな角度から「エシカル」を考えてきた。現在は、食を中心としたサステナビリティを考える「TSUMUGI」というコミュニティーにも携わり、畑を耕したり、思いのある生産者さんにインタビューをしたりしている。

新しい服はほとんど買わなくなったし、できるだけ作り手の顔が見えるものを選ぶようにしている。それでも、自分の日々の生活がどれだけエシカルかと聞かれると、正直悩ましい。忙しいときはゴミを細かく分別しなかったり、マイボトルを用意する時間がなくてペットボトルを買ってしまったりすることもある。

いまだに私は、モヤっとしたまま暮らしている。

7日間、家を借りてエシカルな暮らしをデザインする

ある日TSUMUGIに、そんなプロジェクトの挑戦状が舞い込んだ。自分が感じているモヤっと感と向き合ってみるいい機会かもしれない。人にも地球環境にも良い住まいや暮らしを探求してきた積水ハウスが、ミレニアル世代とともに、エシカルな暮らしを考えていきたいという思いで始まった企画だそう。

はじめは、大企業の環境の取り組みなんて口先だけだろう、なんて思っていた。けれど、今回の活動開始前に見学に伺った資源循環センターで、そんなことを思っていた自分を恥じた。そこでは、建設現場で分別された端材や梱包材を、人の手でひとつひとつさらに細かい分別に仕分けていた。100%リサイクルをしているという。

「最初はいろんなゴミが混ざっていましたが、建設現場の人たちをここに連れてきたら、ここで作業する人のことを考えて、きちんと分別してくれるようになりました。みんなが楽しく作業できるようにいろんな工夫をしているんです」 センター立ち上げ当時からの担当者の誇りある声には、あの悪魔のささやきが入る隙もなさそうだった。

手を動かしてしまえば、楽しい

そしていよいよ、6月12日から7日間のチャレンジがスタート。太陽光発電パネルのエネルギーを利用できる住空間で、3組のクリエーティブユニットが、エシカルなライフハックを実験する。

ニュートラルな視点を届けるWEBメディア「NEUT Magazine」は、環境に優しい素材でカラフルなせっけんを作ってみたり、空き瓶にペイントして花を生けてみたり。エシカルかどうかよりも、見ているだけでワクワクする。

モバイルハウスをつくる建築家集団の「SAMPO inc.」は、賃貸でもできる壁に穴を開けないDIYで空間をハック。謎の置物や植物も飾られ、殺風景だった部屋がたった3日で有機的な空間になってきた。

私はTSUMUGIのメンバーとして、無農薬の梅やレモンのシロップづくりをしたり、端布で蜜蝋ラップをつくったり。料理で出たゴミは、ベランダのコンポストへ。いずれも、いつかやりたいと思いながらも、準備が面倒そうでひとりでは実践できずにいたこと。やってみると、ものすごく簡単だった。手を動かし始めてしまえば、「面倒くさい」よりも「楽しい」の方が圧倒的に勝っていた。

あれ、いま、モヤっとする暇もなかった。

活動前夜のイベントで、Takramの渡邉康太郎さんが言っていた言葉を思い出す。「効率って、あってもなくてもいい。自分の身体を通して結果を感じられる実験をしている方が、人生は楽しくなるんですよね」。

文化人類学者・環境運動家の辻信一さんの、「エシカルは社会的責任とイメージされるけれど、責任なんか本当は誰もとれないんですよ」という話も妙に納得した。

どうやらエシカルな暮らしに、「〜すべき」と言う正義のヒーローは必要ないのかもしれない。「面倒くさい」とささやく悪魔の声は、「楽しくて聞こえなかった」くらいが気持ちいい。

このプロジェクトから、さらにいろんな「楽しい」が生まれていきそうな予感がしている。

プロジェクトの活動前夜のオンラインイベント第1回
2021年6月11日(金)19:00-21:00

プロジェクトの活動を振り返るオンラインイベントをYouTube LIVEで配信
2021年6月19日(土)19:00-20:45

writer:若尾真実

慶應義塾大学卒。在学中、バングラデシュに渡航しエシカルブランドを立ち上げる。PR会社を経て、ファッションスタートアップ企業へ参画。2020年に独立、フリーランスの編集者・コピーライターとして、ブランドや企業のブランディングに携わる。

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