DJ議員の選曲カーに乗ってみた!【ソーシャル数珠つなぎ 特別編】

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こんにちは、久々の数珠つなぎではありますが、今回は特別編でお送りします!

 
前回登場いただいた森山幸治さんは岡山市議会議員でした。もともとバーを経営し、「DJ議員」を自認、選挙の時は選挙カーならぬ音楽を流す「選曲カー」に乗る、とのことでした。

選曲カー?

政治記者歴20年超(汗)のわたくしではありますが、選曲カーって見たことも聞いたこともない。興味津々だったところで、ちょうど今回、2019年4月の統一地方選で森山さんは改選でした。そこで、再び岡山に出張して、乗ってきました、選曲カー! そこには見たことのない選挙の風景が広がっていましたよー。

 
選挙戦のさなか、行った日はあいにくの雨でした。小さな選曲カーに乗り込むと、確かに選挙っぽくない軽やかなフュージョンっぽい音楽が流れていました。これ何の曲ですか?と聞こうと思ったら、聞き覚えのあるメロディーが…♪Singing In The Rain…そうか、雨だものね。それから軽快なジャズ。ちなみに今回は森山さんを「数珠つなぎ」で紹介してくれた坂口修一郎さん、まちづくりするミュージシャンも車に乗っていて、「ゲストDJ」として選曲を担当していました。音楽を流しながら街を走る車の中で森山さんはマイクを握ります。坂口さんは、街やそこを歩く人々の雰囲気や、森山さんのテンションに合わせて曲を選んでいきます。ルイ・アームストロングやジャクソン5。楽しくアップテンポな感じです。時々森山さんが「こんな感じの曲を」とリクエストも入れます。ちなみに森山さんのスタイルは必勝はちまきにたすきがけ、と伝統的なお姿です。

 
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森山さんが語るのはこんな感じ。

 
「これまでになかったユニークで楽しい、面白い政治をつくってきました。一部の力のある人たちや行政だけじゃなくて政治をつくっていきたい」

 
「若者たちが政治をめざす、そんな世界にしていきたい。44歳、実社会ではおじさんですが、議会では若手です」

 
「まちづくりはそんなだいそれた話じゃない。一人一人が優しい気持ちになってかかわれば街はおのずと変わっていくと確信しています」

 
「地域の中に顔の見える関係を作っていく。人の居場所を作る。それが地方議員の役割だと思っています」

 
だんだん都市部に入ってくると森山さんは「低音きくHIPHOPにして」と坂口さんにリクエスト。演説も「オールジャンルでオールミックスのまちづくりに取り組んできました」とますますノリノリになってきました。

 
「いろんなものがまざりあっていく中で、行政がやるのではない支え合いも生まれるはずです」

 
「キラキラした楽しい、クリエーティブで面白い政治をしたい。地元のDJ議員、イエイ、森山幸治です」
 
 
そう語る頃には曲がRun-D.M.C. ♪Walk This Way。森山さん、車中でマイクを握りながら体でリズムをとり、左右に揺れていました。選挙運動でRun-D.M.C.だなんて!!まあ、確かに「Walk This Way」っていう感じではありますね。ちなみに今回はなかったけど、お母さんが子どもを遊ばせている昼間の公園では、「森のくまさん」なんかを流すそうです。

 
こんな選挙活動初めてだよ、と思いながらわたくしは気づきました。選挙活動のやり方ってもっと自由でいいんだ。こういう身近で音楽でノリノリなやり方だってあっていい。だって政治って本来身近なものなんだから。ただ名前を連呼したり、「清き一票をお願いします」って言ったり、だけじゃなく、伝え方だって多様でいろんなやり方があっていいはず。それを「選挙活動ってこういうもの」って先入観や前提に勝手にしばられていたのではないかと。

 
ちなみに、流している音楽にうるさい、と言われたことはないそうです。

お寺でのミニ集会は10代も積極参加

活動の後、夜は「マチナカギカイ」として、ミニ集会。会場は蔭涼寺というお寺です。臨済宗のお寺ですが、スタジオ並みの音響設備を備えていて、いろんなイベントをお寺で開催しているのだとか。

 
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集会には30~40人ほどが集まりました。発達障害者のための塾をしているという30代の女性は、3歳の息子さんを連れてきていました。「まちづくりとか、女性の問題とかに関心があります」。選挙関係のイベントに来たのは初めて。主に中高生向けの不登校のスクールを開いている原昌弘さんは、政治に関心があるというスクール生6人と共に参加です。16歳の男子は「(まちづくりを体験するゲームの)シムシティが好きなんだけど、実際のまちづくりはどうなのかと思って来ました」。

 
森山さんや坂口さんたちが教育や学校、子育て、町内会などについて話したあと、会場との質疑応答になりました。「私の経験を話してもいいですか?」と手を挙げたのは19歳の女性。もちろん、と促されて話し始めました。「私、不登校っていうか学校行けなかったんですけど……。何か自分の意見を言っちゃうと親が学校に呼び出されたりとか。でも、居場所みたいなところが街にあって、私はそこに行ってて。その場所に集まってくる大人たちも良い意味で規格外というか。そういう大人たちに出会えたことで今の私がいるので、そういう場が増えるといいなと思います」

 
続いて発言したのは白髪頭の町内会長。森山さんたちのトークで町内会がポジティブにもネガティブにもあれこれ取り上げられたことに対してでした。「うちの町内会はお祭りも運動会もやってるし、とっても活動がさかんです。町内会にはいろんな形があるから、あまりこうだ、って決めつけないほうがいいよ。楽しい町内会を作りましょう(笑)」

 
若い人たちに町内会長、子連れのお母さんに、それから公務員をしているっていう方も来ていました。そういうまったく属性の違う人たちがまちについて考える。「マチナカギカイ」はそういう場でした。わたくし、これこそ政治だと思ったのです。日常から、普段から、自分たちの、社会の現在と未来を考えるといいますか。いろんな立場や世代の人たちが肩ひじはらずに議論する。こんな場がもっと増えるといい、と。
 
 
選挙の結果、森山さんは3選を果たしました。5,488票。前回の選挙の4,469票から1,000票以上増やしてのことでした。 

  • writer秋山訓子

    朝日新聞編集委員

    92年入社。政治部、経済部、アエラ編集部、政治部次長などを経て現職。政治を中心に、NPOや社会企業など幅広く取材。かわいい好き。後輩の加地ゆうき記者が描いてくれたこの似顔絵、めがねが私です。

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