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「私、ベジタリアンなんです」と言ったら、どう思いますか? お肉を食べなくなった6年で考えたこと

公開日
更新日 2022.02.21
目標11:住み続けられるまちづくりを
目標12:つくる責任 つかう責任

スーパーに並んだヴィーガンミートの商品

コラム】 from Canada

エシカルのその先へ

国産ニット帽子ブランド「ami-tsumuli (アミツムリ)」デザイナーの寺本恭子です。28歳の時に、祖父から老舗の帽子メーカーを引き継ぎました。2004年にはブランドを立ち上げ、ファッション小物の国際展示会であるパリのプルミエールクラスでデビュー。エレガントで高品質なニット帽子と国内外で評価されましたが、その後、アパレル素材の背景に隠れたストーリーを知り、「良いモノづくり」の定義を見直しました。「真のラグジュアリーとは何か?」をカナダに移住した今も追究中です。

「え、野菜しか食べないの。なんで?」

初めて食事をする友達や、招いたお客様が、「私、ベジタリアンなんです」と言ったら、どう思いますか?

「え、野菜しか食べないの。なんで?」
「それで、栄養足りてるの?」
「困ったな、どんな料理を用意すればいいんだろう…」

あなたがベジタリアンでなかったら、そんな風に思うかもしれません。

ビーガンアイスクリーム

実は私は、ベジタリアン歴6年。ベジタリアンにもいろいろ種類がありますが、蜂蜜を除けば、完全菜食主義のヴィーガンに近いベジタリアンです。でも、他の方にベジタリアンの食生活をお勧めするつもりはありません。私は専門的な知識がある栄養士や医者ではないし、体質や環境、考え方が一人一人違うことも理解しているからです。

ただ、ベジタリアン人口が世界的に増え続けているのは、事実のようです。日本も5〜6年前は帰国のたびに外食に困りましたが、最近ではすてきなベジタリアン・ヴィーガンのお店がたくさんあります。

ベジタリアンメニュー、お互いに楽

私が住むモントリオールでは、魚介類や卵、乳製品は食べるペスコ・ベジタリアンまで含めると、頻繁にベジタリアンの方に出会います。スーパーには、ベジタリアンのためのソーセージ、ピザ、マヨネーズ、アイスクリームやケーキなど、様々な商品が並びます。

レストランやカフェの多くで、ベジタリアン・ヴィーガン用のメニューが用意されています。
焼肉屋でも、ラーメン屋でも、ハンバーガーショップでも同様で、お肉の代わりに、豆腐やテンペ、植物性のパテなどが使われています。

ベジタリアン・ランチメニューのサンドイッチ

「なぜわざわざベジタリアンがそんな店に行くの?」と聞かれますが、レストランには知人らと一緒に入ることがほとんどです。ベジタリアンメニューがあれば、ベジタリアンの人も、そうでない人も、お互い気が楽なのです。ベジタリアン・ヴィーガンに特化したレストランも、特別な日に行きたいお洒落なお店から、ファストフードまであり、普段はお肉を食べる人も、その日の気分で気軽に楽しんでいます。

ベジタリアンと聞くと、サラダばかり食べているイメージを持つかもしれませんが、様々な豆類やナッツ類を組み合わせることによって、こんなにもおいしい料理の世界があるのかと驚かされます。もはや「お肉の代用」の域を超えて、新たな料理のカテゴリーに進化し始めているのです。

肉を食べることはエシカルなのか」

ベジタリアンになる理由は、人それぞれです。

私自身は、アパレル商品に革製品を使うことがエシカルか否かを考えたことが、きっかけです。
知り合いの革製品メーカーさんたちが「革は食肉の副産物だから、捨てたらもったいない」とおっしゃるので、では「肉を食べることはエシカルなのだろうか?」と考えたのです。

市販されているベジタブルパテ

私たちが見る肉は今、スーパーで奇麗にパックされたものがほとんどです。まるでそれは、工場で作られた「製品」のようです。そこからは、命を「いただく」ことの意味が実感できないのではないか。そう思って、都内の食肉卸市場でもある食肉処理場へ、1人で見学に行きました。

現場は一般公開されていませんでしたが、資料館のビデオで、牛がどの様に運ばれてきて、食肉処理され、解体されていくかを学ぶことができました。そして、家畜の様子だけでなく、働いている人たちの苦労と誇りも知りました。

「お肉を食べること自体に善悪はないけれど、ここまでして供給する必要があるのだろうか?本当に必要な人が、必要な量だけ食べれば良いのではないか?」

気がつけばベジタリアンに

見学し終わった私は、そんな風に考えるようになり、その後は自然にベジタリアンに移行し、気がつけば、目の前に出されたお肉を食べたいと思わなくなっていました。

このほか、宗教による規制、心身の健康のため、動物の命を犠牲にしたくないなど、ベジタリアンにはそれぞれの理由があるはずです。闇雲に「お肉も食べなくちゃダメよ!」「無理してるんじゃない?」「卵はいいの?バターもダメなの?」と畳み掛けられると、疲れてしまいます。もちろん、招待されたホームパーティーでさりげなくベジタリアン料理を出してくれることもあり、そんな時は、とても温かい気持ちになります。

Kombuchaと呼ばれる自家製の発酵茶

「ベジタリアンで本当に体は大丈夫なの?」という質問に対する私なりの答えを最後に書きます。

私自身は、ベジタリアンになってからの方が健康になりました。この6年間で、3回ほど風邪をひきましたが、いずれもハーブティーで治ってしまった程度です。念のため、豆類を多めに取るほか、スピルリナのパウダーを野菜ジュースに混ぜたり、Kombuchaと呼ばれる自家製の発酵茶を飲んだりしています。いずれも、植物由来でありながら、タンパク質を作る必須アミノ酸、ビタミンB群が含まれてるそうです。

これからますます、「ベジタリアン」「ヴィーガン」という言葉に出合う機会も増えてくると思います。多様な生き方の一つの選択肢として、少しでも身近に感じていただけたらうれしいです。

【コラム一覧】
①ママ友の言葉で始まった「良い素材」を知るための「旅」 自分の目で見て考え続けた10年
②「ハッピーホリデーズ」が教えてくれた多様性 勘違いだった「日本人VSカナダ人」のバトル
③薄紙で「クシュクシュ」と布で「お弁当包み」 日本を離れて感じた「包む文化」の魅力と戸惑い

writer:寺本 恭子

国産ニット帽子ブランド「アミツムリ」デザイナー

東京生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、新卒で入社した銀行を2年で退職し、大好きだった洋裁を学ぶために、東京田中千代服飾専門学校デザイン専攻科へ。卒業後は、オートクチュール・ウエディングドレスデザイナー・松居エリ氏に師事。28歳のとき父が急逝したため、母方の祖父が経営する老舗ニット帽子メーカー吉川帽子株式会社を受け継ぐ。2004年にニット帽子ブランド「ami-tsumuli(アミツムリ)」を立ち上げ、同年にパリの展示会でデビュー。2014年からカナダ・モントリオールへ移住し、サステナブルな視点を生かしながら創作を続けている。

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