2030SDGsで変える
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「SDGsって政府や企業の目標じゃないの?」 得子、金太郎と学ぶSDGsの自分ごと化 1

更新日 2022.02.02

イラスト・深川直美

SDGsって何だろう? ちまたにあふれはじめたこの問いに答えを与える本や記事をたくさん見るようになりました。そこで今回は、それらの情報に一通り触れて、「SDGs? もう知ってるよ、あれのことでしょ、あれ」という人や「SDGsってなんかうさんくさくない?」という方向けに、新たなSDGsの情報をお伝えすることにしました。なぜSDGsがいま必要なのか、誰が取り組むべきものなのか、SDGsを本質から理解するための4回シリーズです。毎週暮らしやお金にまつわる身近で得する話題を届ける朝日新聞土曜版「be」の人気コーナー「知っ得なっ得」のSDGs版。「得子」と「金太郎」が案内します。深川直美さんのエッジの効いたイラストとともにお楽しみください。

金太郎(かねたろう)

最近、新聞や雑誌を読んでいても「SDGs(エスディージーズ)」というワードが必ず出てくるよね。

得子(とくこ)

そうだね。企業のトップや政治家が襟元にSDGsバッジをつけていることも増えた。ブームといっていい状況だよね。

金太郎

僕も乗り遅れまいと勉強したんだ。SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳す。貧困や飢餓の撲滅、ジェンダー平等、海や陸の環境保全といった国連が達成をめざす17の目標と、169のターゲットがある。

得子

勉強してるじゃない。じゃあ、SDGsを受けて金ちゃんが自分の暮らしで意識していることはある?

金太郎

えーと、えーと……。あれっ、SDGsって国際社会や政府、企業が取り組むべき課題じゃないの?

得子

それじゃあSDGsバッジをファッションでつけてる人と変わらなくなっちゃうよ。誰が、いつ、どんな目的でつくったか、本質を理解するためにも確認していこうか。

金太郎

うん。SDGsに関心を持って取り組んでいるように見せて、実はうわべだけの企業とか人を「SDGsウォッシュ」っていうんでしょ。それはまずいな。

得子

SDGsは2015年、国連で採択された。正式名称は「我々の世界を変革する――持続可能な開発のための2030アジェンダ」。要するに、今の世界は持続不可能だから2030年までに変えようという宣言なの。

金太郎

あと10年もないんだ。

得子

そう。さっき金ちゃんは「国連が達成をめざす」って言ったけど、SDGsの目標は国連や各国政府だけが勝手に決めたものではない。開かれた場で女性や子ども、先住民、労働者、NGO、民間企業といった多くの人や団体が議論に加わって作り上げた。地球上に生きる人なら関係のない人はひとりもいない。すぐに実践にうつさなくてはいけない目標なんだよ。

金太郎

誰もが当事者ってことか。

得子

そう。SDGsには二つの基本理念があるけど、その一つに「誰一人取り残さない」と掲げられている。発展や大転換の局面では、これまで社会的弱者や少数者が不利益を被ることも多かった。途上国の人が劣悪な環境下や低賃金で働かされることで、先進国の人たちが利益を得たり、恩恵にあずかってきたっていう事例は、すぐに思い浮かべられるでしょ。発展も大事だけど、これまでは当たり前だったこういう不公平の是正も大事な課題だから、SDGsは誰ひとり取り残さないというコンセプトを掲げたんだ。

金太郎

もう一つの理念はなに?

得子

「変革」だよ。日本で変革というと改善のイメージもあるけど、英語の変革=「トランスフォーム」はもっと大きな変化を意味する。車に例えれば、ハイブリッドカーを増やしてガソリンの消費量を減らすのではなく、ガソリンを使うのはやめて電気自動車に変える。その電気は化石燃料ではなく再生可能エネルギーにする。さらには、車がなくても生活が成り立つ社会を模索する。そんな大転換ね。

金太郎

これまでの世界の延長線上ではもう地球は耐えられない。本格的、根本的な変革が必要ってことだね。しかも誰一人取り残さない。実現は大変そう。

得子

そうだね。誰かに頼っているだけでは間に合わない。一人ひとりになにができるか、次から具体的に考えていこう。

        構成・be編集部 斎藤健一郎 ※be on Saturday2021年6月12日号より転載

coordinator:高橋真樹

「日本のSDGs それってほんとにサステナブル?」著者

ノンフィクションライター。国内外をめぐり持続可能性をテーマに取材・執筆を続ける。「ご当地電力はじめました」(岩波ジュニア新書)、「そこが知りたい電力自由化」(大月書店)、「ぼくの村は壁で囲まれたーーパレスチナに生きる子どもたち」(現代書館)など著書多数。公式サイト https://t-masaki.com/

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