ラピスプライベートが作る「おやさい絵の具」。5色入りで800円です
=ラピスプライベート提供 くわしくはホームページ
余って捨てられてしまう野菜でおもしろいものを作ろうと、高校生や大学生の団体が活動しています。やさしい色合いの「おやさい絵の具」を作り、子ども向けのワークショップも開催。そこには「へんてこりんでもええやん!」という思いが込められています。
(小勝千尋/朝日中高生新聞 2022年8月22日)

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色や形の悪い野菜を生かしたい
おやさい絵の具を作るのは「ラピスプライベート」という団体です。関西を始め、関東、九州、海外の高校生や大学生、芸大生など20人ほどが活動しています。。
形や色が悪かったり、生産や作業の過程で捨てられたりする「へんてこりんお野菜」を使います。例えば、割れてしまったトマトや、農家の高齢化で採りきれず熟れすぎたカキ、リンゴのタルトを作るときに出る皮、キャベツの外側の葉などです。
ドライフルーツを作る機械で乾燥させたあと、粉末ミルや石臼(いしうす)などでパウダー状にします。そこに天然樹脂の「アラビアゴム」を混ぜると、絵の具のように紙にかけるようになります。この絵の具を使った子ども向けのワークショップを開いたり、ほかの商品の開発に取り組んだりもしています。

ラピスプライベートは2021年1月、山内瑠華(やまうち・るか)さん(立命館大学国際関係学部4年)が立ち上げました。きっかけはその半年前の夏、コロナ禍かで家にいることが増え、一緒に暮らす祖父母が営む農業に興味を持ったことです。
農業の大変さを知ると同時に、色や形が悪くて売り物にならない野菜が廃棄されていると知りました。「せっかくおじいちゃんやおばあちゃんが育てた野菜を使って、何かできないかと考え始めました」
野菜のきれいな色を見るうちに、絵の具にできないかとひらめきました。ミキサーにかけたり凍らせたりと実験を重ねたといいます。
ナスから始め、あらゆる野菜で試しました。赤はビーツ、紫は紫イモ、緑はホウレンソウ、青はバタフライピー、黄色はトウモロコシから作ることができました。
「いまは野菜を目にすると、絵の具にしか見えません」と笑います。周りに声をかけて、メンバーも増えていきました。

「完璧じゃなくていい」の思いから
小学生の時から「しっかりものキャラ」だった山内さん。「周りが望んでいる姿に自分から当てはまっていくタイプでした」
勉強も運動もできなくてはいけないと自分を追い詰めて、不登校になったり家出したりした時期もあったそうです。当時を振り返り「『へんてこりんでもいいよ』『完璧じゃなくていいんだよ』と言ってもらいたかった」と話します。

同じように苦しい思いをする人が増えないでほしいという気持ちを込めて、子ども向けのワークショップもしているといいます。「へんてこりんなお野菜を通して、『へんてこりんでもええやん!』『輝ける場所はひとつじゃないよ』と伝えたい」
今年、大学を卒業する予定です。今後は働きながら、団体を会社にし、絵の具を文房具店で買えるようにすることやワークショップのパッケージ化、捨てられてしまう野菜の活用サポートなどをしていきたいと考えています。

夢に向かってがんばる中高生に向けて、山内さんは「自分の信念を大切にして」とメッセージを送ります。
「中学生の頃から国際関係に興味があり、SNSなどで発信していて、『意識高いね』と笑われることもありました。でも友達は、夢を応援して味方でいてくれる2、3人がいれば十分。何か言ってくる人は『好きなことが見つけられないかわいそうな人やな』と思って受け流して、ためらわずにがんばってほしいですね」

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