2030SDGsで変える
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中学入試の頻出テーマにSDGs 試験対策にとどまらない進学後の必須事項に

2021.06.16
目標4:質の高い教育をみんなに
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs(持続可能な開発目標)はここ数年の中学入試でよく取り上げられたテーマの一つで、出題の大きな柱と位置づけることもできそうです。どのような切り口があるのでしょうか。2021年度の入試を中心に調べてみました。

■17の目標に結びつく取り組みは

SDGsには17分野のゴール(目標)があります。それぞれのゴールには、より具体的な行動としてターゲットという小目標が定められ、その数は全部で169になります。今春の中学入試では、昭和学院秀英や立教新座、フェリス女学院などが日本語でSDGsをあらわすのに適する語句を問い、城北埼玉や東京都市大学付属などでは「持続可能な開発目標」を示す行動指針についてアルファベット4文字で答えさせました。SDGsを知識事項と,して取り上げる典型的な出題例といえそうです。

17のゴールと関連づけて出題した学校の一つが、早稲田実業。新型コロナウイルスの影響で開催が延期された東京オリンピック・パラリンピックを題材にメダルの原材料に着目しました。東京大会では使用済みの携帯電話といった小型の家電などから金属を集めメダルをつくるプロジェクト(都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジクト)が実施され、リサイクル素材をもとに5000個あまりのメダルに必要な金属を確保。このプロジェクトがSDGsのどのゴールに貢献する活動であったかを問いました。「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」の五つを示し、選択式で答えさせました。

青山学院中等部の選択授業「ソーシャルイノベーション入門」。SDGsのターゲットをわかりやすくするコピーづくりに取りくんだ生徒たち=東京都渋谷区の青山学院中等部

東邦大学付属東邦では17分野のゴールとその達成を目指す企業の取り組みを提示。「ある化粧品メーカーでは女性管理職を増やすための研修を設けたり、育児や介護をしながら働き続けられるテレワークなどのしくみを取り入れている」「ある電気機械メーカーでは工場から排出される二酸化炭素からプラスチックなどの原料をつくる技術の実用化を進めている。またある洗剤メーカーではゴミをリサイクルした燃料を使って発電をおこなっている」といった事例がどのゴールに結びついているかを問いました。

■「なぜ必要か」を記述

最近の入試で目立つのが受験生自身の考えなどを記述式で答えさせる設問です。たとえば春日部共栄では17のゴールのなかから「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」の二つを取り上げ、地球の環境に影響をあたえる二酸化炭素をめぐる課題について出題。その一つとして「二酸化炭素の排出を減らそうという取り組みで私たちが身近にできることを一つ簡単に答えなさい」という問題を盛り込みました。

SDGsを扱った教科書。多くのページを割いて紹介した出版社が目立った

共立女子では合科型入試に含まれる論述テストでSDGsを取り上げました。「1950年から2025年にかけて世界人口の変化を示すグラフ」2019年以降は予想値)「1751年から2014年にかけて二酸化炭素排出量の推移を示すグラフ」「1981年から2010年の年の平均気温からの差を示すグラフ」「2009年から2018年にかけて世界の穀物生産量と消費量の推移を示すグラフ」など計6種類の資料を提示。このなかから受験生が一つを選び、資料の内容を説明しながらSDGsの活動が必要な理由を説明させました。「持続可能」という表現を用い120~150字でまとめるのが条件で、受験生の思考力や表現力も問われました。

■2021年度中学入試80校の問題を分析

「朝日小学生新聞」を発行する朝日学生新聞社は、2021 年度の国立・私立中学校約 80校の入試問題を分析し、時事問題の出題内容を調べました。新型コロナウイルスに関連した社会や理科の出題、SDGsに関する知識や考えを問う問題が目立ちました。菅内閣の発足や気象、レジ袋の有料化なども頻出しました。

SDGsに関する問題では、知識だけでなく、グラフや記事などの資料を読み取り、SDGsと社会課題、課題の解決について考えさせる問題も多くの学校で出題されました。またレジ袋有料化やプラスチックごみに関する問題では、海洋汚染が人間の生活に与える影響やマイクロプラスチックがヒトの体に影響を与える過程について、記述させる問題も出題されました。

SDGs特別授業を受ける東京女子学園の3年生。その日の新聞の記事にSDGsのアイコン付き付箋(ふせん)を次々と貼り付けていく生徒たち、東京都港区=東京都港区

私立中学校では、新聞を使ってSDGsに関する特別授業を採り入れる学校も増えてきています。新聞記事を読み、17のゴールのどれに当てはまるのか、そのゴールにたどり着くには何が必要か、をグループワークで取り組む例もあります。SDGsは単なる入試対策ではなく、進学後の授業でも取り上げられる必須事項になったとも言えるかもしれません。

【SDGs関連の出題校例】
・SDGsのアルファベットを書かせる、カタカナでの読み方、アルファベットが表す意味「持続可能な開発目標」を答えさせる。(昭和学院秀英、城北埼玉、立教新座、東京都市大学付属、早稲田実業、フェリス女学院、海陽中等教育学校ほか)
・SDGsの17目標のうち4つを示し、日本国憲法が規定する権利のうちで関連がない条文を選択させる。(春日部共栄)
・17の目標と、日本の企業が取り組んでいる事例についての関連を問う。(東邦大学付属東邦)
・日本で2020年7月から有料化されたものを問う。(ラ・サール、日本女子大学附属ほか)
・バイオマス素材を用いたレジ袋が有料化の対象外になった理由を記述。(西大和学園、海陽中等教育学校)
・プラスチックの粒子が魚や貝などの体内に取り込まれ、生態系に影響をあたえるのではないかといわれている問題について「マイクロ(プラスチック)」を記述。(市川)
・プラスチックごみで海洋が汚染されると、人間の生活にどのような影響があるか40字以上60字以内で記述。(芝浦工業大学柏)
・マイクロプラスチックがヒトの体に影響をあたえる過程を「吸着・蓄積・魚介類」の3語を用いて記述。(鴎友学園女子)

記事提供:朝日学生新聞社

朝日進学情報2021年5月号より転載

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