2030 SDGsで変える

エシカル消費とは?意味や考え方を知れば、人生が変わるかもしれない|事例を交えて紹介

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writer

末吉里花

一般社団法人
エシカル協会
代表理事

(写真提供:Naomi Ohno)
 

持続可能で、より“豊かに”この地球で暮らしていくために

   
突然ですが、皆さんは「エシカル」という言葉を聞いたことがありますか? たとえ聞いたことがあっても、聞き慣れない言葉だし、英語だし、実際のところ意味がわからない、という方がほとんどではないでしょうか。

 
そうであっても大丈夫です。なぜなら、この「エシカル」という言葉はとても新しく、ここ1、2年でようやく日本でも聞かれるようになったからです。今からこの言葉の意味や考え方を十分に理解しておけば、今後のあなたの人生が変わるかもしれません。持続可能で、より“豊かに”この地球で暮らしていくためには、絶対に欠かせない考え方だからです。

 
「エシカル」 とは、直訳すると「倫理的な」という意味です。一般的に理解されている「倫理的な」こととは、法的な縛りはなくても、多くの人が正しいと思っていることで、本来人間が持つ良心から発生した社会的規範です。今、世間で耳にするようになった「エシカル」とは、この一般的な意味合いが根底にありつつ、地球環境や人、社会、地域に配慮した考え方のことを指します。とりわけ、ここ最近日本ではエシカルな考え方に基づく消費、「エシカル消費」が注目され始めています。

 

なぜ「エシカル消費」が注目されているのか

 
なぜエシカル消費が注目され始めたのでしょうか。世界の緊急課題として、貧困、人権、気候変動の三3つが挙げられますが、これらの課題を同時に解決していくために、人や社会、地球環境に配慮した倫理的に正しい消費を行う「エシカル消費」という概念が有効であると言われているからです。

 
企業の経営者も、サラリーマンも、主婦も、どんな人も消費者です。日々の暮らしの中から、買い物を通じて、世界が抱えている問題を解決に導く一端を担うことができます。エシカル消費とは、毎日何げ気なく行なっている消費の視点を少し変えるだけで、社会に変化を及ぼすことができる、最もシンプルで身近なアクションなので、今日から、明日から、誰にでもできるということが最大の魅力です。

 
日本においても、消費者庁が2015年5月から2年かけて「『倫理的消費』調査研究会」を開催し、この中でエシカル消費の枠組みづくりが行われました。エシカル消費は間口が広く、「エシカル」という大きな傘の下に「フェアトレード」を筆頭に「オーガニック」や「地産地消」、「障がい者の支援につながる商品」、「応援消費」、「伝統工芸」、「動物福祉」、「寄付付き商品」、「リサイクル・アップサイクル」、「エシカル金融」など幅広い消費の形があります。

途上国の生産現場の現状

   
そもそも、なぜエシカル消費が必要なのでしょうか。それは不公正な世界の現状があるからです。今、あなたが着ている洋服をが、どこで、誰が、どのように作っているかわかりますか?  おそらくほとんどの方は知らないでしょう。なぜなら、私たち消費者は製品を手にとっても、その裏側にある情報をほとんど受け取れないからです。ではその裏側で人や環境を犠牲にするような問題が起きていたら?  私たちは知らない間に、「買う」という行為を通じて、そういった問題に加担しているかもしれない危険性があります。

 
私たちは日々なんらかの消費をして生活をしていますが、毎日着る洋服の原料となるコットンやコーヒー、紅茶、チョコレートの原料となるカカオなど、多くのものは途上国で作られています。その生産背景には、労働搾取や児童労働、環境破壊といった深刻な問題が潜んでいます。

 
2013年4月に起きたバングラデシュの縫製工場が入るビル 「 ラナプラザ」 の崩壊事故では 、約1100人以上の生産者が犠牲になりました。ここでは主に、私たち先進国の消費者が安いといって好んで購入するファストファッションのブランドや、誰もが知っているようなグローバルなアパレルブランドの商品が作られていました。

 
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(「ラナプラザ」の崩壊現場。がれきは片付けられたが、遺族や見物人がひっきりなしに訪れていた=2013年6月17日、サバール 撮影:朝日新聞社)

 
私たち消費者が積極的に求める安い商品の裏には、弱い立場にある途上国の生産者の犠牲があるといっても過言ではありません。日常的に多くの洋服を消費している私たちにとって、こうした現実は決して遠い世界の問題ではないのです。

 

私たちにできること

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(写真提供:Naomi Ohno)

 
一方で日本に住む私たちは、どのような関わり方でエシカル消費を推進していけばよいのでしょうか。冒頭にも申し上げましたが、私たち全員に共通することは、消費者であるということ。毎日なんらかの消費のために大切なお金を使っています。企業にとって消費者の存在は無視できず、私たち消費者が何を求めるかによって、企業の生産のあり方が左右されるはずです。そう考えたとき、私たち消費者が持つ力は絶大であり、それぞれが「誰が、どこで、どうやって、どのように作った製品か」を意識しながら買い物をすることが重要です。

 
フェアトレードやオーガニックコットン、持続可能な森林認証や漁業の認証ラベルを目印に購入すれば、消費者にとってもわかりやすいでしょう。また、企業やスーパーに、「フェアトレード商品は置かないのか?」「この製品の生産過程を知りたい」と掛け合ってみるのも効果があります。大手スーパーのイオンはフェアトレードの商品を販売するリーディングカンパニーとも言えますが、実は「フェアトレードを活用して、イオンの店舗をより多くの人が気軽に国際貢献に参加できる場にしてもらえませんか?」というたった一人の主婦の声から取り組みが始まりました。

 
私はこうした消費者の声を、ポジティブなノイズ、と呼んでいます。毎日の消費行動は、個人的な営みにとどまりません。人や環境や社会、ひいては未来にも影響を与えていることを一人ひとりが自覚しながら生活することで、社会を変えていくことができるのです。

 
エシカルとは「エいきょうを シっかりと カんがえル」こと。見えないものを見る想像力を育むことです。また古くからの日本人が大切にしてきた「おたがいさま」、「おかげさま」、「もったいない」といった精神性との 親和性が高く、私たち日本人こそ世界にエシカルのマインドを伝える力を持っています。

 
すべてのモノをエシカルに切り替えることは誰にもできません。でも、自分が普段お金をかけたいと思う分野のものから選択をしていく、という方法もあります。5枚買っていたTシャツのうち1枚をオーガニックコットンにしてみる、いつもの1杯をフェアトレードのコーヒーにしてみる、地元の農家さんから直接野菜を購入してみる、など小さなことから始めてみてください。きっと自分にとっても新たな発見や喜びがあるはずです。毎日を楽しみながら、「私にいい」と「世界にいい」をつなげていってほしいの です。

 

SDGsとエシカル消費

エシカル消費を日々の生活の中で実践すれば、SDGsの17の目標のうち、12番目の「つくる責任 つかう責任」という目標を達成するための大きな一歩を踏み出すことができます。

 
例えば、フェアトレードの商品を購入すれば、目標2(飢餓をゼロに)、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)、目標8(働きがいも 経済成長も)、目標12(つくる責任 つかう責任)、目標13(気候変動に具体的な対策を)、目標16(平和と公正をすべての人に)、目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)を網羅することができます。

 
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(2017年12月の「エコプロ2017」では、リビングを模したブースの中に様々な認証製品を並べ、身近なSDGsを意識した消費行動を提案した 写真提供:一般社団法人「日本サステナブル・ラベル協会」)

 
SDGsを達成するためには、エシカル消費の推進がとても重要で、その鍵を握るのは私たちのような一般市民の力です。エシカル消費を通じて、SDGsをより身近なものとして捉えてほしいの です。

 
次回は、エシカル消費について、さらに掘り下げていきます。

  • writer末吉里花

    一般社団法人
    エシカル協会
    代表理事

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