解決策を探る

キーワードは“きょうそう”。巻き込み、自走する人間が世界で通用する【対談 2/2】 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

speaker

神武直彦

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科准教授

speaker

福原 正大

Institution for a Global Society株式会社 CEO/一橋大学大学院特任教授

「未来メディアキャンプ2016」(10/30,12/17 慶應義塾大学三田キャンパス 9/20応募締切)開催を記念し、モデレーターを務める慶應義塾大学大学院SDM研究科の神武直彦准教授と、科学的アプローチで世界で活躍できる人材育成を行う会社Institution for a Global Societyの福原 正大CEOが、世界で戦える人材について語ります。
 
前編ではお二人が感じている教育における課題に関して、どう対処していくべきなのかなどを語っていただいた。後編となる今回は、福原氏、神武氏が持つグローバル人材の定義や、未来の教育についての議論を紹介する。

競争だけではダメ。“共創”できる人材がこれからは求められる。

IMG_0060

福原 グローバル人材の定義は人それぞれですが、単に英語を話せるだけでは足りません。私が考えるグローバル人材とは、“きょうそう”できる人です。

 
これは二つの意味があります。一つ目は“競争”の意味。日本ではもちろんそうですが、世界レベルでの競争も見据えることがこれからのカギです。とはいえ、いきなり一人で戦うというのも大変でしょう。

 
なので、同時に世界のどんな人と共に何か新しいもの、より平和な価値を作ることを期待して、“共創”の意味も兼ねています。

 
神武 私も福原さんと非常に近いのですが、教育をしていると、やっぱりどこか一つ強みを持っている学生は素晴らしいと思います。

 
何をするにも軸があるので、自信があるし、どうすれば軸を立てられるかを知っているんですね。生まれた時から英語をしゃべれる必要はなくて、自分の軸を立てた経験、立てられなかったとしても、いろんな失敗・経験をして、ちゃんと深く物事を考えられている人材が、グローバル人材に求められるスキルかなと思います。

 
福原 よく最近ではグローバル人材といった時に、多くメディアとかでも、「英語ができればグローバル人材」みたいな話があるじゃないですか。僕は個人的には英語は必要条件だと思っていますけど、“必要十分条件”だと思ってなかったりします。

 
神武 あとはそうですね、今後はデータサイエンスとファシリティーションが大事だと思っています。多様な人との合意形成ができるファシリテーターとしての能力。そして情報、データが溢れている現代において、それを適切な形で集めて、分析して、意思決定をする。

 
単なるアナリティクスではなく、自分である意味考えて行動できる能力が大事だと思いますね。しかし、どちらも一朝一夕で身につくものではないでしょう。日頃から、何かに熱中できる人が身につけやすいのではないでしょうか?

進化する教育。キーワードは、「空間」と「データ」

IMG_0095

 
福原 教育は進化しており、日本でもタブレットを授業で用いる学校も増えてきていますよね?神武さんが考える、未来の教育ってどのようなものとお考えですか?

 
神武 未来の教育はやっぱり、今よりは空間と時空を超えた教育になるのは明らかでしょう。オンラインしかり、人が行き来することも自由になってきますね。将来は、教育が当たり前に、どこでも存在するような仕組みの世界になると思いますね。

 
福原 私は未来の教育は、徹底的にカスタマイズされたものになると思っているんですね。データに基づき、一人一人に合った本当にカスタマイズされた世界が訪れる。すぐに訪れるとは思いませんが。

 
神武 データを扱う際に、未来メディアラボで朝日新聞社の方が注力してくださったのが、システマチックに考えるシステム思考と、新しいものを考えるデザイン思考というもの。

 
朝日新聞社の記者の方が、人工衛星とかITのようなセンサーと同じように、地域の見えないものを取り出して、データをインフォーメーションにしたり、可視化したりする。そうすることで、今まで見えなかったものが共有でき、新しいアイディアを出していくっていうことは、社会課題を解決する一つの、大きな実験になると思いました。

 
福原 僕はまさに記者の方が、いろんな意味でのセンサーになると面白いなと思っていて。アメリカで今ものすごく伸び始めているフィンテックの会社で、人間ATMっていうのがあるんですね。歩いている人間が全部両替所になっていく。

 
このように情報における最高のセンサーである新聞記者の方を通して、大きなビジネスができるというか、いろんなことができそうですよね。これを聞いた時に、久々に頭をガツンと殴られたような気がして。

 
未来の教育は、学校という空間を超えたものになるようです。また、一人一人が膨大なデータを持つことにもなるでしょう。このデータをどう使うのか。

日本がグローバル化しきれないのは英語がネック?目を向けるべき、日本英語の現実

IMG_0115

福原 先ほど、英語が話せなくていいみたいな話がありましたけど、英語は必要条件です。必要十分じゃないけれど、英語っていうのは本当にクリティカルに関わってきますから、コミュニケーションに。

 
神武 ちょっと話は変わりますが、シンガポールって全世界の優秀な学生を無料で呼んで学ばせてるんですよ。学ぶとやっぱりシンガポールに対する理解も深まるし、経済の発展のために貢献するので、いわゆる能力の高い人を集めて教育することで、そこが成長していきます。

 
時間と空間を超えて教育できるようになった時にいかに、日本にそういう人材が来たいと思われるか。大学だけが頑張っても無理で、国が魅力としてどれだけあるかっていうことを考えていかなきゃいけないんですよね。

 
福原 まぁ、正直、英語を喋れない先生たちが多すぎますよね。所詮英語なんだけど、されど英語なんです。例えば、イエールシンガポール。シンガポールの国立大学とイエールが作りました。

 
しかし、日本の大学は選ばれない。なぜかというと、一度、日本に来ると英語がどこにも使われていなくて、嫌気がさしてしまうんですよ。この点で、シンガポールは英語が公用語なのが強さになっているのは間違いないです。

 
福原 日本のGDPって世界の中で昔は20%近くの割合を占めていたのに、今は5%くらいしかないんです。それなのに、居心地がいいから中にいようとする。

 
やはり、現状維持の姿勢では現状維持できない。日本の英語力の低さは随分前から指摘されてきましたから、そろそろ教育そのものを見つめ直さなければいけないタイミングにきているのではないでしょうか?

grow_banner_small_sp

 
今年の「未来メディアキャンプ」では、参加者の皆様に、「GROW」というアプリをダウンロードし、利用していただきます。
「GROW」は、利用する人のコンピテンシー(能力、適性、行動特性)を科学的、客観的に解析し、成長を支援するアプリです。教育ベンチャー企業のIGS(東京・渋谷)が開発し、朝日新聞社が協力、就職活動に役立つアプリを目指しています。
「GROW」が評価するコンピテンシーは、「創造性」「論理的思考」「興味」「表現力」「画柔軟性」「決断力」「誠実さ」など25種類です。
 コンピテンシーのスコアは、フェイスブックなどでつながった友達から評価を受けることで日々変動します。自分の強みや弱みを理解し、成長の道筋を描きやすくなります。現在、大学生を中心に、3000人以上のユーザーが活用しています。
今回は、「GROW」を通して、キャンプでの議論や取り組みでどのような能力が伸びたかを測り、皆様の今後の成長につなげて頂ければ、と願っています。

  • speaker神武直彦

    慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科准教授

    大学卒業後、1998年に宇宙開発事業団入社。H-IIAロケットの研究開発と打上げおよび国際宇宙ステーションプログラムにおけるNASAや欧州宇宙機関(ESA)との国際連携に従事。ESA研究員、宇宙航空研究開発機構主任開発員を経て2009年より現職。専門は社会技術システムのデザインとマネジメントやイノベーティブなサービス創出のためのプロセス・環境構築。一般社団法人GESTISS(宇宙・地理空間技術による革新的ソーシャルサービス・ コンソーシアム)理事。アジア工科大学大学院客員准教授。

  • speaker福原 正大

    Institution for a Global Society株式会社 CEO/一橋大学大学院特任教授

    慶應義塾高校・大学、INSEAD(MBA)、グランゼコールHEC(with Honors)、筑波大学博士(経営学)。東京銀行、世界最大の資産運用会社バークレイズ・グローバル・インベスターズ(Managing Director, 取締役)を経て、科学的アプローチで世界で活躍できる人材育成を行う会社Institution for a Global Society設立。

解決策を探る